ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part36】真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

 今回感想を書いていく作品は「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

 角川スニーカー文庫より2018年から刊行中の現在11+1+1巻のシリーズ。作者はざっぽん。イラストはやすも

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました4 (角川スニーカー文庫)

※画像はAmazonリンク(1巻および4巻)

 

 

 まずはいつものように本作のあらすじから。

 

 ””「君は真の仲間ではない――」
 そう言われて勇者パーティから追い出された主人公・ギデオンは、レッドと名前を変えて辺境の地ゾルタンでのんびりと薬草屋を開業する。すると、そこにかつての仲間だったお姫様リットが自宅まで訪ねてきて……、二人で始める幸せなセカンドライフが始まる。””

 

 といった感じのお話。
 ジャンルとしては、異世界スローライフ・ファンタジー・追放モノ、といったですね。

 ただ、本作はそれだけでなく「人の生き方」としてのスローライフを重視していたように思えて、今回の感想はこの部分について話していこうかなと。


1:本作の超重要設定「加護」

 本作には「加護」というものがあります。
 まずこれについて説明をしないと、この作品の感想を語ることができない。

 

 「加護」というのは、いわゆるRPGの職業のようなもので、この作品では神から与えられるものとされています。そして与えられた「加護」に従って生きることが一般的であるという考えが広く根付いています。

 例えば「勇者」の加護を与えられたのなら、勇者として魔王や魔族と戦わなければならない。

 といった感じに。

 

 それがどう重要なのか、というのを一つ具体例を挙げて説明します。

 

2:加護に従うのか、抗うのか〜勇者パーティ崩壊まで〜

 主人公のレッドが追い出された勇者パーティの「勇者」は彼の妹であるルーティです。(冒頭で示した4巻表紙の女の子ですね)

 一方のレッドは「導き手」という加護を持っていて、その能力は最初からステータスにプラス補正が掛かっていて勇者の最初のレベル上げをするための同行者となる、といったものでした。

 

 で、レッドは徐々に勇者についていけなくなって……、追放されて……、その後勇者パーティは崩壊……、みたいな追放モノの王道な流れはあるんですが。
 ここで深く根付く問題には、間違いなく加護というものがあるんですよ。


 簡単に言えば、加護に従うのか、加護に抗うのかという話。


 レッドをパーティから追放したのは「賢者」であるアレス。
 そして彼は賢者である自分が最も賢いのだと、勇者の隣に立つに相応しい存在だと信じてやまない。だからこそ勇者ルーティが信頼する兄が疎ましかった……。
 そんな思考がありました。

 アレスは「賢者」の加護があって、それが自分の正しい在り方だと思っていたわけですね。


 一方で「勇者」ルーティは勇者になりたいと思ってなどいなかったのです。

 あらゆる加護には、そうあるべき姿を実現させるための衝動というものがあります。

 「勇者」の場合は、困っている人がいたら助けなければならない、たとえ加護を持つ本人がそうしたくなくても、といった感じに。

 つまるところ、ルーティは勇者なんかやりたくもないのに、加護があるからそういう生き方を強要されていたわけです……。
 さらに補足するなら、勇者は誰にとっても平等に完璧な勇者でなければならないから、疲れない、眠らない、食事も取らない、徐々に感情が消えていくなどの制限もあって……、マジでヤバイ。

 

 話を修整。

 ともかく、ルーティは勇者をやりたくない。でもやらなきゃいけない。そんな苦しみを抱えながらもそれでもまだ勇者を続けていたのは、大好きなお兄ちゃんがいたから。

 兄であるレッドは、子どもの頃からルーティが勇者の加護に抗えずにいたことを知っていて、その苦しみを少しでも減らしたいと、「導き手」の加護とは関係なく、ルーティのサポートをするためだけに自分を鍛え騎士となり様々な文献を漁たり人脈を築いたり……、そんなことをしていたわけです。

 勇者の苦しみを誰も理解してくれない中、幼い頃から自分の側で自分のためだけに努力し続けた兄をどう思うかなど言うまでもなく……。

 ルーティはお兄ちゃんを追放したアレスに激怒して、更には勇者を辞めることに。

 こうしてパーティ崩壊が始まり、同時にルーティの勇者の加護から逃れるための戦いが始まるわけですね。

 この追放から勇者パーティー崩壊、ルーティの加護への抵抗といった内容が主に4巻までの内容(第一章みたいな感じ)で展開されます。

 

 また、ルーティのためにがんばるお兄ちゃんの実態はEpisode0として刊行されているもので詳細が描かれているので、個人的に必読の1冊だと思っております。

 

3:スローライフの本質

 ……ここまでで随分話したましたね。

 でも、重要なところなのでざっくりまとめると。

 

・加護という生き方を強要する設定があって、それに対しての向き合い方の違いがある。

 

 という話。その具体例でした。

 そして、これが本作の根底にあり、メインの要素ある「スローライフ」にも問を投げかけるわけですね。

 

 「英雄は英雄でなければならないのか?」
 「力あるものが、ただ大切な家族や恋人と平和に暮らしたいと願うだけは間違っているのか?」

 

 ということ。

 本作はスローライフを歌いながらも、こうした本質的なスローライフの意味を求めるための戦いやシリアスな場面が数多くあります。

 既に話した勇者ルーティの背景なんか、まさにそうですよね。

 なので、人によっては「スローライフって言いながらスローライフしてねぇじゃん」って言いたくもなると思います。わたしも読みながらたまに思ってました(笑)

 

 ただ、わたしとしてはそれと同時にこういうシリアスな背景があるからこそ「レッドやリット、ルーティがなんのしがらみもなく幸せに日々を過ごしてほしい」と感情移入しながら読むことができるのは、この作品の大きな強みだと思っています。

 そういう意味でたしかにこの作品は「スローライフ」をテーマにした作品ですよね。


4:ナチュラルに狂人多すぎ問題

 また、そんな「加護」という設定がある本作ならではの個性として「ヤベー奴が多い」というものがあります。

 

 先ほど例に上げた「賢者」アレス。
 自分が賢者だから正しいんだと、信じてやまないような奴で。

 

 まぁ、こういう系の人が多いんですよ……。

 逆に加護に縛られることなく自分らしく生き続けた人間もそれはそれでやべー方向に突っ走っていくんですけど……。

 その結果、敵キャラになるようなのは基本的にナチュラルで頭おかしい奴ばかりです。

 

 で、これは個人的に、すごい良い。
 頭イカれたキャラというか、悪役には悪役の流儀があるというか、普通に話が通じない人というか……、そういうのわたし大好きなんですよね。

 なので、これは一つ本作の強みとして挙げられると思っています。


5:魅力的なキャラが多い

 頭のおかしいキャラがいるのとは対照的に。

 加護があっても、そうでない自分の生き方を模索して日々を過ごそうとする味方側のキャラっていうのはみんな魅力的になるんですわ。

 

 まずは主人公のレッド。お兄ちゃんとして、妹のルーティのために生きてきた過去とかすごいカッコいいじゃないですか。
 追放されてからは、そこで再開したかつての仲間のリットと恋人になって、彼女を大切にするのはもちろんなのですが、勇者を辞めようとしているルーティが自分を追いかけてきたことを知ってからは、今まで通りにやっぱり妹のためにできることはやろうとしていて、これがもう堪らなくいいんですよ。

 言ってしまえば、レッドは超シスコンなのよ。

 そしてルーティは超ブラコン。

 二人の生い立ちを考えれば当たり前すぎる関係ですが、とにもかくにもお互いがお互いをめっちゃ好きな兄妹っていいですよね。

 ルーティの可愛さも、基本的にはこのお兄ちゃん大好きから溢れてきていて、めっちゃ可愛いのよ(日本語ちょっとおかしい)

 

 そして、レッドと恋人としてイチャイチャするリットもまた可愛くて。
 キャラ紹介ではツンデレのツン期が終わった状態と言われていて、まさしくその通り。日頃から周囲が引くようなイチャイチャっぷり、惚気を披露していて見ているだけで読者も癒やされます。

 

 また、ルーティの友人となった少女ティセとそのペットである蜘蛛の”うげうげさん”(さん、までが名前です)も非常に魅力的なキャラで。

 ティセはこれぞ妹の友人キャラ、という立ち位置で普段からルーティのブラコンっぷりや、レッドのシスコンっぷりにツッコミを入れてたり。
 一方では、作中随一の一般人ポジションとして日常生活の色々な面のこだわりなんかを語っています。温泉とかお風呂とかね。個人的には、そんな彼女の一人称シーンはだいたい全部好きなんですよね。

 

 そして、うげうげさんはなんでしょうか……コメディ担当?

 何というか、何でもできる蜘蛛なんですよ。戦闘、密偵、伝達役、日常の家事や遊び。何でもできます。
 この蜘蛛一体どうなってんだ? と言いたくなるマスコットでコメディ的な役割を果たすうげうげさんも毎回楽しみに読んでいます。


 他にも色々なキャラがいますが、多すぎても長くなるので割愛。

 
シリーズ紹介

 最後にざっくりとシリーズ紹介。

 

 本作はまず本編が現在11巻まで刊行中。

 

 それからレッドとルーティの過去編としてEpisode0というのが1巻。

 

 また、現在のレッドとリットの恋人イチャイチャ生活を描いた中編として電子限定版で1巻。

 

 合計13冊が刊行されています。

 感想中にも述べたように、個人的には過去編は読んだ方がいいかなと思います。本作の中心にある主人公のシスコンっぷりがはっきり描かれているお話なので。

 

おわりに

 まとめると

・加護という設定を基にしたシリアスな展開や背景があって、スローライフの本質を見る作品
・強固な背景があるからこそ、キャラそれぞれが非常に魅力的になり、そんな彼ら彼女らの平和な日常を楽しむことができる

 といった感じですね。

 

 今回の感想はこんな感じで。

 

 1巻のAmazonリンクとBOOKWALKERリンクを貼っておくので、気になったらチャックしてみてください。

 

Amazonリンク

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)

BOOKWALKERリンク

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました - ライトノベル(ラノベ) ざっぽん/やすも(角川スニーカー文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

 

 

前回のラノベ感想「宝石吐きのおんなのこ」

【シリーズまとめ感想part35】宝石吐きのおんなのこ - ぎんちゅうのラノベ記録

次回のラノベ感想「シュガーアップル・フェアリーテイル

【シリーズまとめ感想part37】シュガーアップル・フェアリーテイル - ぎんちゅうのラノベ記録