今回感想を書いていく作品は「ささみさん@がんばらない」です。
ガガガ文庫より2009年から2013年まで刊行されていた既刊11巻(未完結)のシリーズ。作者は日日日(あきら)。イラストは左。
※画像はAmazonリンク(1巻および2巻)
- 1:作品概要
- 2:神々と人の物語
- 3:理想の主人公・ささみさん
- 4:主要キャラだいたい変態
- 5:ささみさん×かがみ
- 6:カオスすぎる展開
- 7:複雑すぎる視点遊び
- 8:完全無欠のハッピーエンドはどこに……?
- 9:巻別満足度と総合評価
- おわりに
1:作品概要
まずはいつものように本作の簡単な紹介。
””引きこもりの少女・月読鎖々美(ささみさん)はがんばらない自堕落な日々を送っていた。
そんな彼女の日課は「お兄ちゃん監視ツール」なるものを使って、学校の教師を務める兄・月読神臣の日常を観察すること。
というのも、日本の最高神アマテラスの力らしい(?)お兄ちゃんは、無意識に周囲の小さな神々がその願いを叶えようとして世界を改変してしまう可能性があるから。
そんなお兄ちゃんの側には同じような目的で邪神三姉妹という存在もいるみたいで……神話×怪異に満ちた日常系? 非日常? な物語が始まる””
というのが1巻の大筋ですね。
ジャンルとしては「神話」「日常系&非日常系」でしょうか。
特に神話要素が強いです。
シリーズ序盤は日本神話メインで、ちょっと不思議な事件に巻き込まれるささみさんたちや、ささみさんががんばらくなった背景、家族との物語が展開されています。
しかしながら中盤以降はギリシャ神話やインド神話、世界各国の神話が日本を侵略し始めて徐々に世界の終焉へと物語が発展していってしまいます。
さて、そんな本作に関するわたしの率直な感想は「ここ数年で読んだ中で五本の指には入る傑作」「……最終巻はどこですか?」ですね。
わたしの言う「傑作」=「わたしの性癖が詰まった好きで好きで堪らない作品」という意味なので、今回の感想はもうそれを吐き出す形になってます。
そして、そもそも本作は「何でもアリ」「ハチャメチャでカオスな展開」みたいなのを売りにしているので、おそらくこの感想を見ても要領を得ないものになると思われます。
あとネタバレも避けられないです。
2:神々と人の物語
まず最初に「神話」の部分について。
基本的に神話をベースにした作品は大好きです。
特に世界各国の神話が交わるような物語はこういうラノベやら漫画やらのフィクションならではという感じがして好きなんですよ。
それぞれの独自の物語や価値観を持ってまとまっている1つの1つ神話を、その歴史的な交わりを踏まえて作者オリジナルの新しい物語になる感じ? と言いましょうか。それが個人的にめちゃめちゃワクワクするんですよね。
本作は日本神話で始まり。
ギリシャ神話、インド神話、クトゥルー神話、科学という現代の神話、北欧神話、ゾロアスター神話、ユダヤ神話などなど幅広くカバーしていました。
基本的にこれらの神話の知識があったほうが楽しめるのは間違いないです。
わたし自身全ての神話で詳しいかと言われたらそんなことはなく、ざっくりしか知らない部分も多々あって読んでいましたが、それでも知ってる知ってないはかなり物語への没入感変わったと思います。
特に本作は最初にも言ったように神話要素が非常に強い。
本来の神話が持つ設定や物語を踏まえた上で。
この作品独自の、神々が辿ってきた歴史を語り、そこから生まれる神々の持つ心を描き、そしてそんな神々を利用しようとする組織や悪意との交わり、あるいは神々と人との友情や愛情なんかを描いていくのです。
ただでさえ神話好きで、同時に異種族や人外のキャラが好きなわたしにとってはこれだけでもう性癖が詰まった作品と言えるレベル。
本当に素晴らしかった。
3:理想の主人公・ささみさん
色々な作品に触れる中で、当然ですがわたしの中には「こういうキャラクターは好きだ」という気持ちがある程度できています。
そしてわたしの中の理想の主人公像っていうのが、超次元ゲイムネプテューヌシリーズのネプテューヌなんですよね。
ちょっとおバカな言動も愛嬌。
ネタ発言とかメタ発言も多くて。
友達への絡み方がたまにウザい感じ。
シリアスや真面目な雰囲気もときどきぶち壊す空気の読めない子。
だけど、みんなの中心にいるムードメーカー。
がんばるときは、ちゃんとがんばる。
そんな感じかな?
こういうタイプが個人的に主人公としてすっごい好きなんですよ。
で、ささみさんはまさにこのタイプ。
基本的に引きこもりで怠け者。
日常生活はお兄ちゃんに依存気味。
脱引きこもりして学校に通うようになったら、学校では友達になったかがみに依存気味。
かがみ愛してるよーとか、かがみはわたしのお嫁さんとか言っては、かがみに面倒くさそうにあしらわれるような絡み方。
地の文の一人称を読んでいるだけでもうとにかく楽しい子でした。
4:主要キャラだいたい変態
やっぱりね、癖の強いキャラクターは見てて楽しい!
なので、基本的に変態かちょっとアレな人しかいないこの作品はもう大好物でしかないんですよ。
とりあえず主要キャラを簡単に言っていくと。
・ささみさん
属性にしたら「百合」「ブラコン」「シスコン」「変態」でしょうか。
がんばらない引きこもりで友達がいなかったこともあって、友達との距離感がバグッてる。
かがみや情雨ちゃんとは完全に百合空間を展開してイチャイチャしてる。巻数が進む中で、女の子から罵られたりすることに快感を覚えるようになりセクハラも加速、さらに妹ができてからは後述のお兄ちゃん同様のシスコンになる。
・お兄ちゃん
ささみさんのお兄ちゃん、神臣さん。
世界の全てがささみさんへの愛でできているような人。ささみさんへの過剰なスキンシップを求めるのはもちろん、引きこもりのささみさんの日常生活のほぼ全てをお世話できることに至上の喜びを覚える。
ささみさんからは変態犯罪者としばしば言われるが、当然それもご褒美になっています。
これは属性にしたら究極の「シスコン」でしょうね。
これに加えて、常にカバンな何かで顔を隠すというヴィジュアル的に強烈な癖も持ってたり。
・つるぎ
邪神三姉妹の長女。
ロリな見た目と裏腹に、セクハラオヤジみたいな言動が目立つものぐさ教師。学校でエロゲーは当たり前。基本的に誰にでもセクハラしてる。実の妹たちにすら興奮してるときがある。
シンプルに「セクハラ」がひどいです。
でも、シリアスになると年長者として子どもたちを守り導く神様やってるギャップもあってこれも愛嬌なんですよね。
・かがみ
邪神三姉妹の次女。
これまた出生のアレコレによって友達がいなかったせいか、初めての友達になったささみさんへの愛情が重い。
ささみさんからの言動に辟易とすることも多い一方で、ささみさんが自分以外の友達と仲良くしてたりするとヤンデレ始めてはささみさんに面倒くさぁと言われれ、姉のつるぎからも「女の子にガチ恋する親友キャラ」とか言われる始末。
言うまでもなく「百合」属性ですね。そこに一見クーデレっぽい「ヤンデレ」要素もあると。
とりあえずめちゃめちゃ可愛い。マジで可愛い。かがみとささみさん永遠にイチャイチャしててほしいです。
・蝦怒川 情雨(えどがわ じょう)
情雨ちゃんはささみさんの二番目のお友達、かがみからみたら浮気相手になりますね。
ささみさん的にはどっちも大事な友達ですし「愛してるよー」とか「結婚しよう!」みたいな発言は息を吐くように出てくる言葉なので、そんなささみさん大好きな情雨ちゃんとかがみの三角関係は完全に「天然タラシ鈍感系主人公とそれに恋したヒロイン二人」の構図そのもの。
だから本気で恋してるわけではないのに、めちゃくちゃ百合ってるように見えるんですよね。
というわけで情雨ちゃんも属性で言えば「百合」です。かがみのクーデレに対して情雨ちゃんは「ツンデレ」タイプでもあるかな?
登場初期にはTSもあったとかないとか……。
・たま&櫛名田希美
たまは邪神三姉妹の三女。
そして希美ちゃんはたまが通う小学校でお友達になった女の子で、名前からお察しのクシナダヒメの生まれ変わりな子です。
そしておそらく唯一といっていい、本作の良心ペアです。
たまは見た目こそグラマラスなお姉さんですが、その実中身はまだまだ生まれたての神様で小学生そのもの。希美ちゃんは真面目な委員長タイプの子ですね。
こんな二人だからこそ、変態しかいない本作のどうしようもない大人たちに。無知なたまの発言と、希美のドン引きがちゃんとツッコミとして機能するのです。
主要キャラはこのくらい。
既に十分長いので、残りの準レギュラーくたいの人たちを一言で切っていけば。
・ささみさんの父
シンプルに変態(もうたぶん、ささみさんとお兄ちゃんが変態なのは家系ですね)。
・ささみさんの母、情雨ちゃんのママ
娘への愛情がどっちも不器用すぎる。
・情雨ちゃんのパパ
シンプルに悪。これぞ悪党の中の悪党。
・スサノヲ
・イザナミ
息子のスサノヲちゃん大好きなヤンデレ。
まぁ、大体こんなもんでしょうか。
基本的に神々を巡るような物語ですし、まともな人間がいるほうが珍しいのなんか、言われてみりゃ納得レベルのものですけど。
にしたって、主要キャラが大体偏愛気味の個性持ってるんですよ……。
序盤はお兄ちゃんのささみさんLOVEと、つるぎのセクハラオヤジ発言だけだったからまともだったのが。
女の子好きが加速してお兄ちゃんと同レベルに落ちていくささみさん、ヤンデレ化が進行するかがみ、情雨ちゃん加えて生まれる百合の三角関係、この辺りが濃くなってくるともうまともなやついねぇなって感じるでしたね。
ただ、最初にも言いましたが。
主張の強いキャラは大好きなんですよ。
そして、少し余談になりますが。
この変な言動が目立つキャラにちゃんとツッコミしてくれるっていうのはやっぱり重要でして。
読者が作中のキャラのツッコミに合わせて笑うことができなきゃ、それはコメディやギャグとして受け入れられないんですよ。
その点、本作は完全に小学生組で純粋なたまと希美はもちろん。変態たちも相互ツッコミをちゃんとしているから上手いです。
お兄ちゃんのシスコンや、かがみのヤンデレにささみさんがドン引くこともありますし。一方でお兄ちゃんに依存しきってそれを当たり前のように認識してるささみさんには周囲からそれはおかしいとちゃんという。つるぎのセクハラにはほぼ全員満場一致でダメ出し入りますし、実の妹であるかがみにすら姉さんは死んだほうがいいと思うのですとか言われる始末。
癖の強いキャラをちゃんと癖の強いままにからめて、会話させて、面白味に変えている。このシンプルでめちゃめちゃ強いポイントもささみさんがんばらないの魅力ですよね。
キャラ推しだけでも無限の面白いがあるのマジで最高でしたね。
5:ささみさん×かがみ
これを語らずにはいられない。
ささみさん×かがみのカップリングが尊すぎるんですよ!
まずさささみさんとかがみがお友達になる2巻で大号泣するくらいに好きでして。
なにが好きっていえば、かがみの心なんですよね。
かがみ自身、自分が神々の寄せ集めで作られた霊的ロボットであることがコンプレックス、と言っていいか分からないけど。
少なくとも、ずっと普通の人間に憧れているみたいで。
だからこそ、ささみさんに最初は仮の友達と言われて始まった関係でもそれが本当は嬉しくて、仮の友達でもいいからささみさんのために自分ができることを一生懸命にがんばるんですよ。
その後、本当の友達になっても、基本的にかがみは大好きなささみさんの日常を守りたい、という気持ちが強くて、そのために戦う姿が本当にカッコいいし、いじらしいし、見てて胸が痛くなるところ。
他にもささみさんに新しい友達ができそうなって、それを嫌だと思ってしまったときも。自分みたいなロボットはこんなふうに心がおかしくなるはずじゃないのに、って言って涙流したり。
自分はロボットだからささみさんよりずっと長生きするでしょう。でもそれでもいい。もしも自分が先に死んじゃったらささみさんは悲しむから、そうならず側にいられるだけで本望です。とか言ったり。
普段はダウナー系で、ささみさんのウザ絡みにも塩対応をしている一方、その言葉の節々に溢れ出すささみさんへの親愛や本当は普通の人間で一緒にいたい、って気持ちが胸に刺さりまくって好きすぎる。
だからこそ、ささみさんとかがみのイチャイチャ、かがみのヤンデレ化、神々の改変でささみさんの記憶をなくしてしまったときの若干暴走気味に愛を叫びだす怒りとか全部全部愛おしいし。
旅行に興味ないふりしながら、いざ当日ささみさんが風邪引いて休むことになったら不貞寝しだしたり。
ささみさんが自分以外の友達、情雨ちゃんと旅行デートに行ったことに対して、ささみさんが「今度かがみともデートするから!何でも言っていいよ」で誤魔化そうとして、とりあえずそれで「仕方ないですね全くもう」で誤魔化されてくれるところとか。
どのシーン見ててもかがみが好きとしか思えないんですよ。
あとは、かがみ的にささみさんへの愛は親愛とか友愛で、それ以上のこと(一緒にお風呂入ったり、キスしたり)はNGらしく、ささみさんのスキンシップが度を超すと普通に「変態」「気持ち悪いのです」とか言って怒るのも可愛いんですよね。
自分もめっちゃヤンデレてるのに……、とか思うけど、かがみがヤンデレてるときはささみさんが引いてるからお相子なんだよね。
こういうのも見てててぇてぇんですわ。
もちろんささみさんからかがみへのラブも好きですよ。
かがみ愛してる、どれだけお友達ができてもわたしのいちばんのお友達はかがみ、かがみが正妻とか息を吐くように言い出すささみさんだけど、冗談とかではなくちゃんとその言葉通りにかがみを大切に思ってるのが行動で分かるから。
変態度が加速していき、かがみに素っ気なくされるとハァハァしたり、妹ができたときにかがみとわたしの子どもですとかいい出したり、かがみがわたしの子ども産んだ! とか馬鹿げた妄想発言したりするイチャイチャも普通に見ててたまらん。
ただ、一方で。
かがみとささみさんの関係が好きすぎる反動とうか。
歴史改変イフ事件が起こったときに、かがみがささみさん以外とイチャイチャしようとしているシーンを見たわたしの脳が破壊されるという問題も生じたりしました。
……基本的にNTRとか見たって何とも思わないから、脳が破壊されること早々ないと思っていたのに、簡単に破壊されたんですよね。
なので読むときは気を強く持たなきゃだめです。
さて、また長くなったので。
とりあえずこの項をまとめますと。
ささみさんがんばらない、という作品は神話ベースの濃厚な世界観を魅せる作品であると同時にめちゃめちゃ良質な百合作品でもあったという話でした。
とりあえず、ささみさんとかがみは早く結婚して一生イチャイチャしててください。
冒頭の画像が1巻2巻で並べているのもそういうことです、ささみさんとかがみのツーショット♪
あぁ、もう見てるだけで幸せになれますね!
6:カオスすぎる展開
本作の魅力として「何でもあり」というものがあると思っていまして。
というより、基本的に神々にまつわる騒動がメインストーリーになるから、何でもできちゃうんですよ。
それは作風としてのコメディやシリアス、はもちろんとして。一体今何が起こっているんだ? というミステリっぽいこともできたり。
もう少し具体的に言えば。
神々とのバトル、怪異事件の解決。人の心を書き換えたり、記憶消したりも簡単ですし。過去改変、歴史の改竄、世界の崩壊、なんかも大きな問題として出てくる。
文字通りに何でもできてしまう。
だからこそ、基本的に「何が起こってるのか」「一体誰がなんの思惑でこんな事件を起こしているのか」「この状況をどうやって解決するのか」といったものが想像できない。
常に予想外の展開が続く。
ワクワクハラハラが止まらない。
読書の手も止まらない。
面白いって気持ちが止めどない。
これが本当にこの作品で好きなところなんですよ!
そしてそれと同じくらいにシリアスが重たい。
何でもできますから。
神々の力を利用しようとする人の悪意を描けばどこまでも残酷で非情なものにできるし。それを解決しようとしたら、誰かがその命を盾にしなきゃいけなかったり、解決したって後味のいい終わりにはならなかったり。
作中で言われていたように、本作は様々な神話と交わってくる中で、ささみさんたちを守護する邪神三姉妹のような日本神話は「常に負け続けて、最後の一線だけを辛うじて守り抜いている」ような状態になってますから。
日常系であるはずなのに、こんなにも平和で温かい平和が遠い作品っていうのはなかなかないと思いながら、シリーズ終盤は終始心乱しながら読んでいました。
さらに言うまでもないけど、そんなシリアスが重い作品だから、感動シーンも凄まじい。
兄妹愛。家族愛。友情。別離。
そういった人と人、人と神々の交わりで生み出すハートフルストーリーが全部胸に突き刺さる。それは既に語りまくったささみさんとかがみもそうですが。
ささみさんとお兄ちゃん。ささみさんと両親。情雨ちゃんと両親。邪神三姉妹の絆。エトセトラエトセトラ。至るところに散りばめられているものだから、どこから感動が飛んでくるかも分かったもんじゃない。
ここまで言ったことをまとめるだけで。
「変態しかいないキャラの言動に笑って」
「予想外の展開でドキドキハラハラが止まらない面白さがあって」
「シリアスがめちゃめちゃ重くて」
「感動させてくるシーンで確実に泣かせてくる」
ということになるわけですよ。
ただでさえ神話テーマで、1個1個でも十分に読者を楽しまる要素を何でもアリな展開に組み込んで全部やってる、こんな読者の情緒をぐちゃぐちゃにするようなのをやるとか正気の沙汰じゃないですよ。
わたしがこのシリーズ11巻を読む中で一体どれだけ心を壊されたことか……!
7:複雑すぎる視点遊び
最後にこれをお話して終わりましょう。
先ほど述べた本当をカオスたらしめている要素の一つとして「視点人称」というものが挙げられます。
例を挙げて言えば。
1巻の概要紹介で、ささみさんがお兄ちゃんの動向を観察している、って言いましたがこれをもう少し詳しく説明すると。
地の文はささみさんの一人称。
しかし、実際に描かれるお話の内容としてはお兄ちゃん視点で見えている出来事だから、三人称で語るお兄ちゃんのお話、ということもできるんですよね。
地の文は基本的にささみさんなのに。
その視点は別の誰かというのがシリーズを通して続き、視点のミスリードや叙述トリックのような味わいを出してくるってことです。
個人的にいちばん頭こんがらがったのが。
地の文がささみさんのままで、過去のささみさんを見ている情雨さんの視点を語る、とかいう状況ですね。
現在のささみさん、過去のささみさん、情雨ちゃん、という三種類の視点が混在しているのはマジで頭バカになる。
ただこの視点で面白いなと思う部分もあって。
それがささみさんが全く関与していない部分のお話も「これはあとから聞いた話だけど」と前置きして話すところ。
ここで守るべき子どもたちには決して言わない親心とか、神様の想い、みたいなのをやりだすと「あとでそれを知ったささみさんはどんな気持ちだったんだろうな」っていう想像が働いて、一層深く感じ入ることができるんですよね。
8:完全無欠のハッピーエンドはどこに……?
本作は「未完結のシリーズ」です。
いわゆる、ラノベあるある最終巻が一生出てこないシリーズというやつ。
終盤は神々の最終決戦、世界の終焉みたいなものが大きな問題として立ちはだかり11巻はその全てを解決して平和な日常を取り戻すお話でした。
そして、物語として1つの着地はしていました。
キリが良いと言えばキリがいい。
しかし、それは最小限の犠牲で世界を救ったようなお話で。決して間違ってはいない。そうしなきゃ世界は救えなかった。
けど、残された人にとっては絶対それだけじゃ終われないという……そんな終わり方。
だから、完全無欠のハッピーエンドがどこにもないんですよ。
それを描く予定だったらしい最終巻12巻がない……。
無事にこうして新しい難民が1人生まれましたが、12巻はどこですか?
11巻が2013年なのでもう10年経つみたいですね(白目)
9:巻別満足度と総合評価
最後に本作の巻別満足度と総合評価です。
まずは巻別満足度。
1巻時点では「めちゃくちゃ面白い」だったものが、2巻からはもうずーっと「最高傑作」で続いていた作品ですね。
評価の最大が10だから10と言っているだけ、そんなレベルです。
そして総合評価です。
シリーズ全体を通しての満足度は ★10/10
もう何度も言いますが最高でした!!!!
おわりに
今回はもうとにかく最高最高って気持ちを吐き出すだけの感想まとめでした。
ささみさん@がんばらないという作品のあらゆる要素が好きで好きで堪らないです。
そんな作品で難民になったのも辛いと嬉しいの狭間でやっぱり感情がぐちゃぐちゃになってしまいますね。
とりあえず、今回はもう感想終わり。
最後に1巻のAmazonリンクとBOOKWALKERリンクを貼っておくので、気になったらチェックしてみてください。
前回のシリーズまとめ感想「魔王なあの娘と村人A」
【シリーズまとめ感想part50】魔王なあの娘と村人A - ぎんちゅうのラノベ記録
次回のシリーズまとめ感想「竜と祭礼」