ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part114】清楚怪盗の切り札、俺。

 今回の感想は2023年10月のファンタジア文庫新作「清楚怪盗の切り札、俺。」です。

清楚怪盗の切り札、俺。 (富士見ファンタジア文庫)

 ※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(公式サイトより引用

 清楚怪盗の美しい盗みは、俺なしでは成立しない。痛快怪盗ファンタジー

 魔術を盗む右手を持つ一匹狼の盗賊・アッシュ。

 伝説の大怪盗が狙うお宝を横取りしようと、彼が乗り込んだ森の先に――

 ひとりの、幻想的で、美しい、清楚な少女が座っていた。

 「”切り札”が、欲しかったんだ」

 清楚怪盗を名乗る少女・ノアの狙いはアッシュだった。

 実力行使で降参させようとする彼女を返り討ちにするも、

 ふたりは利害が一致して共闘することに。

 怪盗と盗賊が揃ったら行うことは一つ――盗みだ。

 ノアは裸にタオルだけ巻いた姿でアッシュに言った。

 「王女殿下を、寝盗るのさ」「は、はあぁ!?」

 新時代のファンタジーは……怪盗ボーイミーツガール!

 

感想

 これは怪盗モノというよりは、素直な異能バトルファンジーでラブコメな作品として読むべきかな?

 そういう視点で見れば普通に良い作品。

 しかし、そう言う以上気になることも多々あるのが事実でして……、今回は個人的に良かった部分と気になった部分を並べていくような感想を書いていこうと思います。

 

 まずは、良かった部分から。

①ザ・小悪党な主人公

 本作の主人公は、自称盗みの天才。実際、技術も才能にも恵まれているのだけど、どうにも口を開けば小悪党丸出しになってしまう、そんな男でした。

 これが最初は、主人公にしては何だかしっくりこないなぁと思っていたんですが。読み進めていくと、なんか面白くなってくるんですよ。見ててすごく微笑ましい。

 それに、小物感の溢れる主人公でも。彼自身にハッキリと目的意識があるので、話の方向性は明確で分かりやすいですし、カッコ良く決めるシーンはちゃんとやってくれるのでやっぱり主人公だなって思えるから読み終わってみると案外良かったなって思える塩梅が良いのです。

②清楚のゴリ押し

 本作のタイトルにもなっている「清楚怪盗」

 ヒロインのノアが自称するその清楚怪盗とは一体どういう意味が? と思って読んでいたのですが……、結論「よく分からん!」

 というのも意味がないわけではなく、彼女の理論や信念というのがほぼ全て「清楚」という単語に集約されるタイプなので、いわゆる単語ゴリ押し系の作品だったわけです。(某スコップとかざるそばとかそういうやつ)

 わたしはこういうの大好きです。

③これぞ王道、異能バトル

 そして、やはりファンタジー作品の醍醐味と言えば?

 そんな問への回答のように出されるのが異能バトル要素。魔術や異能を駆使した戦いは、下手に奇をてらわず、非常に王道で真っ直ぐなもの。

 やはりこういうのは良いものです。

④やっぱり外せない、ラブコメ要素

 本作はWヒロインな作品。

 清楚怪盗なノアと、彼女と二人でターゲットとして狙う王女様ヒロインのシンシア。

 これがどちらもしっかり可愛さを持っていて、ラブコメ要素として良い塩梅でした。個人的には飄々と好意を口にしていくノアが好きなタイプ。

 

 と、良かったところはこんな感じでしょうか。

 

 では、次に気になった部分。

①キャラの掘り下げ

 ヒロイン二人が十分に可愛いという話をしましたが、これが非常に表面的なキャラの属性の部分でしかないんですよね。

 どっちもその背景を匂わせるようなものはちらほら見られるのですが、この1巻ではそこに全く踏み込まないので、そういう意味では正直ヒロインとしての魅力に欠けてしまうという気持ちが生まれてしまう。

②話のテンポが速い

 テンポの良さは、作品によっては良いものでありますが。

 本作ではマイナス要素に感じてしまいました。というのも、基本的にトントン拍子で話が進みすぎて、物語しての起伏や緩急をあまり味わうことができなかったのです。ヒロインの掘り下げも不足していることも相まって、1冊の密度がかなり薄く感じてしまいました。

③怪盗である必要性

 ラノベではあまり見ない怪盗という要素。

 正直、これが必要だったのか疑問を覚えます。

 最初にも言いましたが、本作の見せ場って盗みではなく、異能バトルなんですよね。派手な魔法をぶっぱなしたり、いかにして相手の能力を攻略するか思考を巡らせたり。

 先に挙げた、主人公の目的っていうのも怪盗に関連することではなく。自身の異能や、過去の生い立ちに関わる比重が大きかったので、より一層に怪盗の必要性どこ? となってしまいました。

 

 気になった点はこんなところでしょう。

 

 というわけでして。

 本作は良い部分は良いのですが、やはり気になるところは気になる。

 決して面白くないわけではないのだけど、めっちゃ面白いかと聞かれるとうーん。

 そういうわけで、総合すると普通に良かったなという感想に落ち着くのでした。

 

 以上です。

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)

 設定世界観・・・★★☆ (5/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻以降への期待・・・★★★ (6/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 普通に良い作品でした・

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

bookwalker.jp