ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part285】友達以上浮気未満のカノジョたち

 今回の感想は2025年8月のファンタジア文庫新作「友達以上浮気未満のカノジョたち」です。

友達以上浮気未満のカノジョたち (富士見ファンタジア文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 この関係は決して不純じゃない……でも、地元のカノジョには言えない


 「すきだよ。大好き」「私、遠距離なんかで絶対別れないから」

 緑屋四季には恋人がいる。

 才色兼備なお嬢様で四季が大好き。そんな彼女を置いて四季は上京することになるのだが――

 

「四季くんは私がいないと困るよね」
「あたし、好きな人にしか話しかけないんですよ~?」
「えへへ。しーくん久しぶり」

 入学先で四季は三人の女生徒と出会う。

 優しく世話焼き気質な桜庭春、

 明るくこちらをからかってくる夏川葵、

 学校で再会を果たした幼馴染の秋晴涼。

 孤立気味だった四季と近しい悩みを持つカノジョたちに好意を抱かれ関係が深まっていく。

 四季に恋人がいると知ってなお――べ、別に浮気とかじゃないから!

 

感想

 めちゃくちゃ素直に感想を言います。

 本作は、間違いなく面白い作品である、とは思います。

 でも、わたしは本当に心の底から嫌いです!この主人公を受け入れられない!反吐が出そうという言葉はこういうときに使うんだなと真顔で思うくらいに無理です!

 

 

 というわけで、本作の概要について改めて。

 転勤族の両親を持つ主人公は、現在彼女と遠距離恋愛中。

 ひとり暮らしで彼女から健康を心配されることも多く、料理部に加入してみることにすると、その中で3人の女子と仲良くなってしまう。決して浮気ではないのだけど、彼女たちが抱える問題を前にすると見捨ててはおけず、ついつい手を差し伸べてしまって……、というような作品です。

 

 

 まず、第一に主人公が嫌いと明言したので、それに関して手短に(と思ってたら手短にできなかった)。

 彼女がいるのに他の女子と仲良くするのが問題とは言いませんが、それは別にして向き合い方というものがあると思うんですよね。その点で、この主人公は本当にクズだと思う。恋愛は、お互いがどれだけお互いを好きであれるかの努力である、みたいな考えがあるかもしれないけど、その考え方で言えば明らかに努力が足りない。彼なりに努力をしていると主張したいらしいけど、あまりに程度が低い。自炊できるようにという料理も結局大してまともに取り組んでいない姿を見てると殴りたくなる。

 そして、3人の女子と仲良くなることに関しても、それぞれ事情があるにしても、定期的にこれも彼女のためだと言い、それがどこからどう見ても彼女を体のいい言い訳にしてるようにしか見えず、それを自覚していないことに底知れぬ歪みを感じてしまう。(もっとも、この関係性については100主人公が悪いというつもりもないですが。後述のヒロイン側にも問題あるし)

 何よりもいちばん、わたしがこの主人公についてムカつくのが。

 転勤族という背景などから、この主人公の他者への関わり方のスタンスを描いていて、どれだけこの主人公が嫌いであろうと物語を見る読者としてはそういうキャラだと言われたらそれで納得しなきゃいけないところなんですよね。

 作品世界としても、この主人公の不愉快な部分をちゃんと言及してくれるキャラがいるくらいなので、主人公のズレてる感性がそういうものとして物語を展開していこうとしてるのが分かるんですよ。

 だからこそ、反論のしようがない正論ぶつけられたときのもどかしさ、それをわたしは強く感じています。読んでいる間、この主人公への感情のやり場に困るストレスがマッハで本当に反吐が出ます。

 

 

 さて、そんな主人公を囲むヒロインたちなのですが。

 まずは彼女から見ていきますと。

 一見すれば、健気で主人公のこと大好きな女の子。こんな子を裏切るような主人公最低だと言いたい気持ちがあるけれど、この彼女なかなか依存気味で精神的にも重い上に、環境的にも重いから高校生男子でそれを素直に受け入れられるかと言われると悩んでしまうのがミソですよね。

 すなわち、医者の家系で実家を継がなきゃいけないという彼女が現在進行形でとにかく勉強に終始しなきゃいけないことや、そのプレッシャーでメンタル病んでることや、彼女と添い遂げるなら婿入りをしなきゃけないとか、そういうただ好きだからでどうにもならない責任や環境があるというお話。
 これが、美少女ゲームの個別√だったらどうにでもなる問題なんでしょうけどね。まぁ、客観的に見たら彼女自身も自分にできる限りの努力はしてても辛いだろうし、主人公も何をしていいかもどかしい気持ちが分からんでもない。

 

 

 残りの3ヒロインについて。

 これもまた、それぞれ部内で孤立していたり、愛情に飢えていたり、天才故の息苦しさがあったりと、悩みを抱えていてその痛みが緩和するのが主人公と一緒にいるときなのだという。ヒロイン視点で重々しい内面を吐露しまくるからこそ、読み応えもあるし、沼っていく様子には面白みが出てくるのだと。

 またキャラ造形としてもメンヘラヒロイン好きには堪らないくらい見事な描かれ方をされているのが強いですよね、こういうキャラでしっかり魅せてくるところは普段のわたしだったら間違いなく好きだと断言できる部分なんですよ。(主人公へのヘイト高すぎて、その感情が薄まっているだけで)

 

 総じて主人公を含めてどのキャラも、背景とそれに由来する他者との関わり方の歪みがあるからこそ、依存や泥沼の不純な関係に繋がっているという構成は非常に上手く、キャラを掘り下げるからこそ人間関係を主体とする修羅場系作品としての深みがちゃんと味わえる作品。

 ですので、主人公へのストレスを除けば、これは素直に面白いと評価ができる作品です。

 

(主人公嫌いの他にも、わたしは不純愛系作品においては、キャラの背景を全員そろいもそろって歪ませたら、そりゃ歪んだ関係にもなるだろうと言いたくなるのであまり好きな形ではないのですが。やはりその好き嫌いの差し引きをしても面白いとは思うので、今回の感想では最後にこうしてボソっと言うだけにしておきます。 )

 

(あと、本作では料理部に入ることから始まったりして、料理や食事に対する各キャラのスタンスでその内面を描写するところが多くあったのですが。個人的に、この部分で共感できない人間めちゃくちゃ多いなぁと思ったりもしましたね。)

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)  

 設定世界観・・・★★★ (6/10) 

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)  (主人公だけ見たらマイナス評価したいくらい嫌い)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10) 

 次巻への期待・・・★★★☆ (7/10) 

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 面白いけど、主人公が嫌いすぎて読むストレスがやばい……

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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