今回の感想は2024年1月のMF文庫J新作「私を選んで、あなたのキスで ~運命のカノジョは私だけ!~」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
時折フラッシュバックする少女の切なげな声。もしかして悲恋に終わった前世の恋人!?と正体が気になる俊斗。
ある日、親友の妹・恵令奈と行ったお祭りで記憶の断片が蘇る。
恵令奈こそ声の主、前世で愛を誓った彼女・フィオナだった。
「思い出してくれたんですね、先輩……いいえ、レオ様!」
感激する恵令奈と今世こそ幸せに……と思いきや、
「私たち、体の相性がいいのかも」
フィオナの波動を放つ転校生・瑠衣が現れ――。
『本物』のフィオナはどっち!?選択を誤ると『本物』の彼女の命が危ない!?
『正解』するために前世の記憶を思い出そうと決心する俊斗だが、記憶の解放には2人の彼女とのイチャイチャが重要な鍵で……?
感想
うん、なかなか面白かったです。
前世で将来を誓い合った人がいる。
漠然とそんな想いを抱えていた主人公。
ある日、とあるきっかけで親友の妹、恵令奈と一緒にいるとその前世の記憶の断片を思い出す。そして、彼女が前世の思い人フィオナの記憶を持つと分かった。
一方で、その直後にクラスにやってきた転校生、瑠衣。彼女からもまたフィオナの持つ雰囲気を感じてしまうのだが、彼女はそんな前世は知らないと言い張る。
輪廻転生の真実にはとある契約が絡んでいる。本物をフィオナを選ばなければいけない――、一体2人のどっちなんだ?
といった感じのお話ですね。
まず、シンプルにお話として面白い。
前世の記憶を少しずつ思い出しながら、どっちがフィオナなんだと疑心暗鬼になりながら進んでいくのは読んでいてハラハラドキドキできますから。一本、話の軸がしっかりしているのは読みやすいし面白い。それがちゃんと分かりました。
そしてヒロイン二人とも良かったですよね。
前世の思い出を前面に押し出して好き好きアピールをしてくる恵令奈。あまりに強いラブはときにはヤンデレ化も起こしてしまったり。
一方で、前世のことを頑なに隠そうとする瑠衣。それはおそらく前世に起こった何らかの問題故に、彼には言えないことがあるのでしょう。
と、どっちもどっちでしっかり主人公への愛情を感じられるのはWヒロインラブコメとしてとても美味しい。
ただ、一方で1巻時点だと、まだ前世の記憶全てが戻ったわけではない。
それはすなわち、前世を基準にして主人公へのラブを見せているヒロインたちの根幹が分からないということ。なので、ヒロインの魅力が”まだ”最大限に発揮されていない、というのは今後の楽しみでもあり、もどかしい部分でもあり、という感じですね。
また、同様にして。
現状は、過去の記憶を探り探りに思い出すというのがメインになっており。
「主人公とヒロインの交流」→「前世の記憶を思い出す」という構成が繰り返されている状態なので、話としての盛り上がりに欠けてしまったように思いました。とはいえ、真実はどうなるんだという今後への期待は十分にあったので、それでプラマイゼロにはなるでしょうか。
なので今後しっかり続巻を出して、しっかり結末まで見せてほしいものですね。逆にそれがないと、モヤモヤしたままで終わってしまうという不安があるのです。昨今のラノベ事情を思うと「頼むから何とか~」と願うしかないのが、痛いですね。
まとめると。
前世を巡るWヒロインラブコメ。
その軸を使ってしっかり面白くなっている!
ただ、まだ分からないことが多く、結末まで描いてこその作品だから、とにもかくにも続巻次第な部分はある……。
そんな感じですね。
総評
ストーリー・・・★★★☆ (7/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) 素直な面白さ、今後も楽しみ!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。