ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part26】我が焔炎にひれ伏せ世界

 今回の感想は2022年12月の角川スニーカー文庫新作の「我が焔炎にひれ伏せ世界」です。

我が焔炎にひれ伏せ世界 ep.1 魔王城、燃やしてみた (角川スニーカー文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ

 (あわよくば何か燃やしたい……)という欲求を抱いていたホムラは異世界へと招かれる。そこには同じようにヘンな女子高生達が集められており、何でも特別な才能を持つ彼女達に「この世界を救って欲しい」という話のようで? 100年振りの魔王復活、混乱に乗じて蔓延る悪党共。天下動乱の世を正す為、世界の命運は少女たちに託された――。


「あなた悪人さんですか?それなら私、心置きなく燃やせます!」


 燃やすことこそ大正義! 焼却処分はエクスタシー!! 圧倒的火力で世界を制圧していく残念系美少女ホムラの行く末は!?
 スニーカー大賞12年ぶり「大賞」受賞作。 最強爆焔娘の異世界コメディ!!

 

感想

「あれ、終わった」


 というのが読み終わった直後の感想です。普通に読み始めて、普通に読み進めていたら、普通に終わったのです。


 すごくまっとうにファンタジーをしていました。登場人物たちは個性的でしたね。良かったです。

 と、小学生並の感想しか言えないんですけども……、少しだけしっかり言葉を絞り出しますね。

 

 まず、本作は異世界に呼ばれた五人の少女たちが魔王を倒すための旅を始めるお話。……なのだけど、マッドサイエンティストに戦闘狂、機械生命体に生体兵器といった癖強メンバーたちは正義とか知ったこっちゃないと言わんばかりに、それぞれ自分の感性の赴くままに突き進むだけ。
 そして、一見常識人に見える主人公の少女もまた……(ここはタイトルやあらすじでお察しのところね)。

 

 まぁ、こういうお話なわけなんですけど。
 この作品のイチオシポイントってやっぱり、この五人の癖強メンバーたちのハチャメチャ具合、になると思うんですよね。

 

 けど、個人的にそこがイマイチと感じたんですよ。
 いや、たしかにやってることはぶっ飛んでる、これは間違いないのだけど。

 

 その弾け具合が、普通に正統なファンタジー世界観に抑制されているように見えたんですよね。

 しっかり作られた世界観、シリアスな展開にバトル、ここぞという場面で覚醒する主人公の力。そういった真っ直ぐな面白さって、コメディみたいなネタよりの面白さとは違うじゃないですか。

 

 本作はこの面白さの質が「癖強メンバーたちによるハチャメチャ異世界冒険譚」よりも「まっとうなファンタジー作品」に寄っているように思えたんです。

 

 そして、それが本作の売りになるべき「癖強メンバーたちのハチャメチャ異世界冒険譚」を抑制しているように映っていた、と。

 別にシリアスや真面目な話をするなって言うわけじゃないです。終盤にシリアスをするから、序盤のコメディが際立つみたいな作品だってやっぱりありますし。大事なのはメリハリだと思ってて、この作品は明確なコメディパートみたいな部分が少なかった気がするんですよ。

 全体を通してコメディと真面目が半々くらいでやっていたような印象。個人的には、それを部分部分で1:9とか9:1に傾けてくれたほうが良かったなと思うのです。

 

 なので、シンプルにファンタジー作品として見れば面白いです。ストーリー、設定、キャラ、どこを取っても申し分ないでしょう。
 ただ、それを合わせた一つの作品として、本作がいちばん強く読者に見せたいのはどこだろう? と疑問を感じてしまった。

 というのが最終的な感想「普通」に繋がるわけですね。
 
 まぁ、あくまでわたしの所感です。
 そもそも「癖強メンバーたちによるハチャメチャ異世界冒険譚」を求めて読んだのが間違っていたのなら、完全にわたしの読み違いでしょう。

 

 少しだけ補足するなら。
 癖強メンバーによるコメディって、正直1巻だけで良し悪しが決められるものじゃないと思うんですよね。
 巻数重ねて、それぞれのキャラの見せ場を作って、背景掘り下げて、そうしていくうちに段々読者が沼っていく。
 キャラを強く魅せる作品って、そういうパターンが多々あるので、この作品もまだまだポテンシャルは秘めてるんじゃないかと思うのも本心。この1巻で主人公のホムラのターンをやったから、ここから2巻以降でどうなるか。
 それ次第だと思います。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★(4/10) 要素要素はいいものばかりななのに、それをまとめた1冊としての軸が分からないので評価しづらい作品。

 

※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。

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