ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part34】ライアー・ライアー

 今回感想を書いていく作品は「ライアー・ライアー」です。

 MF文庫Jより2019年から刊行されている現在12巻(2022年11月)全14巻+短編集1巻のシリーズ。作者は久追 遥希。イラストはkonomi(きのこのみ)

ライアー・ライアー 嘘つき転校生はイカサマチートちゃんとゲームを制するそうです。【電子特典付き】 (MF文庫J)ライアー・ライアー2 嘘つき転校生は小悪魔先輩に狙われています。【電子特典付き】 (MF文庫J)

※画像はAmazonリンク(1巻および2巻)

 

 

 まずはいつものようにあらすじから。

 

 ""主人公、篠原緋呂斗が編入して入学したのは学生同士がランクを決める決闘《ゲーム》を繰り広げる学園島。転校初日から、学園島最強と言われている少女・彩園寺更紗に決闘で勝利してしまい、学園島史上最速で頂点に君臨する“7ツ星”に成り上がってしまう。

 しかし、それは表向きの話。実際には“7ツ星”になどなってなく、さらには彩園寺更紗が実は偽物のお嬢様である秘密を知ってしまい……、全てを隠し通し嘘でもトップに君臨し続けなきゃいけない。更紗との嘘つき共犯関係、補佐役メイドになった姫路白雪のイカサマ、あらゆる手段で世界を騙しきり嘘を本当に変える戦いが始まる。""

 

 といった感じですね。

 超ざっくり言えば、ゲームが全ての学園島でゲームをするお話です。

 なのでジャンルとしては頭脳戦・ゲームモノになります。そこに学園ラブコメがアクセントで加わるような感じですね。

 

 さて、そんな本作の感想を一言で表すと「長編シリーズとして非常に上手な作品。」という感じになります。今回はこの点を詳しくお話ししていきます。

 

1:ストーリーの方向性

 あらすじに述べたように、本作は主人公の緋呂斗が転校初日に嘘の“7ツ星”プレイヤーになってしまったことから物語が始まります。

 

 この星は、簡単に言えば学園島内で開催されるイベントや学生同士の決闘で勝利するとでもらえる格付けですね。7ツ星は学内に一人しかいない、文字通りに最強の称号です。

 そして7ツ星だった更紗に決闘で勝利した緋呂斗は当然、次代の7ツ星になるはずだったけど転校初日だった彼は実際のところまだ1ツ星しか持っていない状態。更紗の彩園寺家が島有数の権力を持っていたり、更紗がその彩園寺家の本当のお嬢様でない、みたいな事情が絡んできて……、7ツ星になった体で振る舞うしかない状況に追い込まれると。

 

 そんなわけで本作の大きな物語の軸には「嘘の7ツ星を真実にするために、ゲームで勝ち続けなければならない」というものがあります。

 

2:本作のゲーム性

 ゲームで勝ち続けるお話。

 

 それが分かったところで、じゃあ本作ってどういうゲームをやるの?

 という疑問が沸きますね。

 

 ズバリ言えば基本的にはイカサマアリ、特殊能力アリのゲームをします。

 ぶっちゃけ何でもアリですね。

 

 なので、この辺りの設定を細かく気にするような方には引っかかる部分が多いのかなと思ったりもします。また、イカサマや特殊能力アリのゲームとなると「どんな逆境でも最終的には何とかなるんでしょ?」という気持ちが生まれてしまう懸念もあります。

 個人的には結構雰囲気で読んでいるところがあるのであまり問題と感じたことはありませんが。

 

 ただ、この何でもアリという設定の良い点をあげるとすれば。

 まず1つ。ゲームの幅がめちゃくちゃ広くできること。長編シリーズとして読むにあったって、常に新鮮なゲームを見ることができるんですよね。身も蓋もない言い方をすればネタが尽きない、みたいな感じです。

 次に先ほど述べた懸念点の逆の見方として、ある種の安心感を持って読み続けられることがあります。本作には王道パターンのようなものとして、ゲームの特性、そこで使える特殊能力を見極めて、仲間と協力して最後には持てる手段全て使って逆境を覆す、みたいなものがあるんですよね。やっぱりこういう安心感は読者が継続して読み続けるには大事ですよ。普通にバトル漫画を読んでてもそうじゃないですか、色々あって苦戦しても最後には必殺技で大勝利、みたいなの。それと同じです。

 

 そういうわけで、一概に何でもアリ、自由度の高いゲーム性は良いも悪いも言えないものですね。

 なのでわたしは良い部分を楽しめるのなら、それで十分じゃないかと思ってます。

 

3:ラブコメ要素

 本作のアクセントとして学園ラブコメがあると言いましたね。

 そのお話をします。

 

 緋呂斗が転校してきたのには理由があって。それは「幼馴染みの少女を探している」というもの。

 なので物語のもう一つの軸としてはこの幼馴染みの少女に出会うことがあって、それが学園島で出会うヒロインの中にいるということになります。

 

 そして本作は実に多様なヒロインが登場します。

 

 まずはこれまでにも話してきた彩園寺更紗。冒頭に示した2巻表紙の赤髪の女の子ですね。いわゆるツンデレヒロイン、同時に嘘つき共犯者としてゲームでは常に頼れる相棒という感じです。

 続いて、緋呂斗の嘘を支えるためのイカサマによるサポートをするメイドの少女・姫路白雪。1巻表紙の子ですね。彼女は正統にメイドで、主人のために尽くすタイプの女の子です。めっちゃ可愛い。メイドさん、いいよね!!

 基本的にこの二人は数多くのヒロインの中で特別にメインヒロインという立場にある感じで、Wヒロイン作品と称しても良いのですよね。あるいは長編シリーズとして希少なメイドがメインヒロインの作品と言ってもいいです!!(メイドがメインヒロインって本当に大事なんだよ! OBCの感想でも言ってるけど、メイドで長編ってマジで少ないから! メイド! メイド!!!)

 

 二人の他にも、あざと可愛い小悪魔ヒロインだったり、天才中二病ロリ、無口系百合少女、真面目風紀委員後輩といったヒロインがいたり。真面目堅物生徒会長とそれに恋するギャル系ヒロインといったサブカプも完備。

 正直に言って、隙が無いほどにそれぞれ魅力的なキャラで溢れています。

 何というか、ラノベ読者の好きなものをよく分かっている感じなんですよ。だから素直に見てて「あ~可愛い~!」って言いながら楽しむことができます。

 

 また、様々なヒロインがいることで読んでいれば好きなヒロインがほぼ必ず生まれてくるというのも良いですよね。わたしは好きなヒロインめっちゃいるので箱推しみたいになってますけど(笑)

 

4:前作「クロス・コネクト」と比較して

 さて、主なストーリーやゲーム、ラブコメといった本作の柱を話しましたね。

 

 しかし、本作のわたしの感想を話すためにはコレを話さなければならない。

 

 「クロス・コネクト」は本作者のデビュー作であり、これもイラストはkonomi先生とのタッグだったゲームモノの作品になっています。ブックウォーカーの1巻リンクを貼っておくので気になった方はチェックしてみてくださいね。

bookwalker.jp

 

 わたしはこのクロスコネクトを発売当初に読み、これが初めて読んだゲームモノのラノベだったこともあって「なんだコレめちゃくちゃ面白いな!!」ってなったんですよね。

 

 しかし、そんなクロスコネクトは全4巻で完結……。

 これは人気がなかったのかと言われるとそうではないと思っていて。

 単純に長く続けられる作品じゃなかったと思うのです。

 

 デビュー作ということもあって、基本的には1巻でしっかり完結するようになっていたんです。中身のゲームも出し惜しみのない最初から最終決戦のような感じ。なので、長く続けるのには限界があったのかなと。……いや、でも長く読めるなら読みたかったですけど。

 ライアーライアーはクロスコネクト完結の4巻の時点で製作が決まっていたようで、おそらくはクロスコネクト自体はしっかり人気があったから、同じようなゲームを扱う作品で今度は長期シリーズを目指していこう、みたいな意図があったのではないかと(わたしは勝手に思っています)

 

 で、ライアーライアー1巻を読んだときに思ったことが、ここまでの感想で述べたように。

 「話の大きな目標がしっかり決まっている」

 「ゲームの自由度が高く、色々なゲームが展開できる」

 「魅力的なヒロインがいっぱいいて、学園ラブコメ成分も楽しめるぞ」

 というもの。

 

 これらを全部まとめると、最初から長編シリーズを見据えて設定を作っているんだなって思うじゃないですか。そして、実際に現在人気が出てきて、多くの人に読まれている事実を見ればこれが大当たりしていることが分かります。

 わたしも毎回新刊が出るたびに楽しみに読んでいます。今度はどんなゲームするのかな、ラブコメは進展するかな、最後はどんな結末になるのかな、そんなことを考えながら読んでいます。

 

 ね、長編シリーズとして、めちゃくちゃ上手にできている作品じゃないですか。

 

 わたしが最初に言った感想はこういうことなんです。

 

 ※あ、ちなみに言えば。クロスコネクトとライアーライアーどっちが好きなの? と聞かれたら迷うことなくクロスコネクトと言います。

 理由は単純「ヒロインが人間じゃないから」です。クロスコネクトのヒロインは電脳神姫と言う存在で、これがまぁ異種族ヒロイン大好きなわたしには刺さるんです。ライアーライアーのヒロインは普通に人間だからね。

 わたしみたいな異種族好きにとっては同じくらい魅力的な二人のキャラがいたとき、それが普通に人間かそうでないかで天と地の差が生まれるのです。

 まぁ、そんなわけでクロスコネクト最高だよ! とライアーライアーの感想の場を借りて言いたいだけなんですが。

 

おわりに

 今回は作品の方向性やテーマを具体的に話した上で、前作の話も踏まえて、ライアーライアーって長編シリーズとして完成度高い作品だよね、って話をしてきました。

 

 普段からこういう風に思って読んでいるので、わたしのホームベースであるTwitter上ではこの作品についてあまり話さないんですよ。

 だって約束された面白さがあるんだもの。

 なんか、わたしの中でこの作品が面白いのって言うまでもないことになってるんですよ。

 

 ただ、改めてこうして言語化するのは大事だなって思って今回シリーズを通しての感想をまとめてみました。

 

 気になった方は以下にAmazonブックウォーカーの1巻リンクを貼っておくので、チェックしてみてください。

 今回の感想は以上になります。

 

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前回のラノベ感想「浅草鬼嫁日記」

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次回のラノベ感想「宝石吐きのおんなのこ」

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