今回の感想は2023年3月のファンタジア文庫新作「もしもし?わたしスマホですがなにか?」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
ピンポーン!
「もしもし、こちら日比谷為明さんのお宅ですかぁ?」。
ある日、誕生日プレゼントとして陰キャな俺のところに送り込まれてきたのは…最新型&超高性能を誇る、美少女型スマートフォン“エクストラ”だった!
ドッキドキの「唇紋認証」で俺のスマホに登録してからは、“スマホなので”いつも一緒。転校生扱いで登校したら、「ぷるぷるダンス」でクラスのみんなとIDを交換し、俺を差し置いて一躍人気者に。メールは見せてくれないし(読み上げてくれる)、めざまし機能は役に立たないけど、仲間もできて、毎日が刺激的なものに…。
美少女スマホがお届けする、新・王道ボーイミーツガール&ラブコメディ。
感想
タイトルあらすじからイメージできる擬人化ヒロイン作品でしたね。
いきなり家に押しかけてくる美少女型スマホのエクストラ。元のスマホのデータを勝手に移行したり、指紋認証ならぬ唇紋認証のためのキスをさせられたりというスムーズな導入で序盤の掴みがバッチリ。
その後もスマホが人型になったら?
という疑問に答えるような展開や要素。
例えば、スマホは寝るとき枕元に置くもの→だったら女の子になっても同じようにするべき、という理論で一緒の布団で寝ることになる、みたいなね。
そういうものを折り込みながら話が進みます。
スマホヒロインであるエクストラの役割は恋愛的なヒロインというよりは主にトラブルメーカー、主人公の平凡な日々に波風を立てるポジションで動いていました。 メールの誤送信やら、人型スマホという彼女自身の物珍しさから生まれる展開などなど。
ラノベらしいコミカルな感じで良かったですね。個人的な「ジャンクフードを食べたいと思ったときに、ちゃんとジャンクフードを食べられた」という感覚でラノベらしいラノベを読めた気がします。
エクストラの性格は人になびかない猫、のような感じなので恋愛的な雰囲気は一切なし。時折普通の女の子らしさは見せるものの、エクストラは自分を高性能なスマホと認識しているからこその状態と言え、これもまあまあ良かったです。
個人的には彼女のファッションセンス。私服が白地で「実質0円」やら「おつとめ品」なんかの謎の文字のTシャツという格好で、最初の口絵から思わず笑ってしまいました。
と、ここまでスマホヒロインについて語りました。
そりゃね、タイトルにもなってる重要な部分ですから。
しかし、この作品はヒロイン以上にやべー奴がいたんですよねー。
それが主人公。
もうね、この主人公に全く好感が持てないの!
なにせ、下心は隠せない。デリカシーはない。童貞の妄想が激しすぎる。すぐに見栄を張る。友達に対して口約束なんて守らなくても大丈夫だろとごく自然に考える。クラス一の女の子とデートしたいと言ってそれを無理だろと否定されたらじゃあ別の子でいいやと「じゃあ」って言い出す始末。そのクラスでい一可愛い女の子に告白しようとしたときにも「あれ? 自分は彼女の何が好きなんだろう?」「いやでも好きなものは好きだよな」とか訳の分からないことを言って……ああ、もうめちゃくちゃだよ。
なんでしょうね。
この主人公彼女がほしいだとか、なんで自分には彼女ができないんだとか言うんですけど「いや、お前そういうところだぞ」としか言えない言動しかしないんですよ。
ここまで来ると終盤の行動は全て自分自身の保身にために動いているようにしか見えないからすごい。他人のためではなく、自分の嫌なことから自分を守るために行動する主人公。
これはもうそういう主人公を意図して書いているとしか思えない。だからそういう主人公なんだと思って読むと一周回って楽しめますよ。
まとめます。
スマホヒロイン以上に、「いや、お前そういうところだぞ」としか言えない言動しかしない系主人公という新しいものを生み出したすごい作品でした。
総評
ストーリー・・・★★☆ (5/10)
設定世界観・・・★★★ (6/10)
キャラの魅力・・・★★★ (6/10) ※主人公だけ見たら文句なしの0点(^^)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★☆ (5/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) スマホヒロイン以上に、全く好感の持てない「いや、お前そういうところだぞ」としか言えない言動しかしない系主人公が逆に面白い作品でした。
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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