今回の感想は2023年11月のMF文庫J新作「マスカレード・コンフィデンス 詐欺師は少女と仮面仕掛けの旅をする」です。
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あらすじ(BWより引用)
第19回MF文庫Jライトノベル新人賞《最優秀賞》受賞作!
ライナス=クルーガー。詐欺師。見えない仮面を被って他人を演じ、手先と口先で金を稼ぐ。ある日、いつものように金持ちのカモを嵌めてやろうとしていた彼が出会ったのは――
「あなた、嘘をついているでしょう」
他人の魂を読んで操る左眼を持った少女、クロニカ。彼女はライナスの嘘を見抜き全財産も奪った挙句、一緒に旅をするよう脅迫する。彼女の鼻を明かすため、何より自身の金のため、様々な危機と困難が絶えない旅路を、詐欺師の手先と口先が迎え撃つ。旅の終着地で彼らを待ち受けるのは、クロニカの秘密と、詐欺師の隠していた真実で……? 近代風異能ファンタジーロードムービー、ここに開演。
感想
うん、これは面白かった!!
というか、好き!!
詐欺師の青年ライナスと、人の心を読み取り操ることのできる少女クロニカの出会いから始まる物語。
舞台は、〈王〉と呼ばれる存在がなくなり、市民革命が成功したばかりの世界。
変わりゆく世界の中で、未だに貴血因子と呼ばれる異能を見に宿す残党貴族たちによる反社会派による事件も頻発していて、クロニカもまたそんな異能力者たちに追われる存在だった……、とそんな感じのお話。
まず、本作は冒頭から掴みが抜群!
クロニカとの出会いから早々に襲撃者。
異能の存在や、ある程度の世界観、そして訳ありなヒロインという状況を明瞭に伝えながらもいきなりのハラハラの展開が面白い!
それでいて、クロニカによって記憶を弄られて、自分の貯蓄している金を人質に取られた詐欺師の主人公が機転を利かせて異能に立ち向かうバトル展開も良いですよね。その戦いが一筋縄ではいかず、さらにはクロニカの異能まで絡んでくると「おいおい、序盤から謎がどんどん深まるじゃねぇか」と読者の期待を煽ってくること間違いなしです。
それから、始まった二人の旅では。
クロニカを追う者たちの襲撃や、巻き込まれた事件なんかで度々衝突する異能バトルがあったり。あるいは異能力者たちを狩るメイドの少女や、恋に恋する家出お嬢様なんかとも出会って、ときに穏やかでときにドンパチする、そんな展開が続きます。
そこでは序盤で広げた風呂敷――すなわち、異能に関するアレコレや、クロニカが追われる理由、もっと言えば〈王〉の存在や市民革命の真実なんかに、少しづつ踏み込んでいく。
しかしながら、終盤の終盤まで、謎の真相は分からない。
というのも主人公が他人を信じない詐欺師であるから。そもそも他人の事情の自分から首を突っ込むような性格ではないのです。
この作品はここまで述べたように、クロニカという少女と、それにまつわる事情がメインストーリーであることは間違いないけれど。
もう1つの主題として、主人公ライナスという男の心に大きく踏み込んでいくというものがあったでしょう。
そして、本来他人を欺く立場であるライナスの心にそこまで踏み込む話ができたのは、言うまでもなくクロニカという少女が心を読むことができたから。
そう言う意味で、この作品は運命的な出会いから始まる一種のボーイミーツガールとしての満足度が素晴らしかったのです!
クロニカとライナス、それぞれの事情が全部ようやく明らかになったとき、この作品に対しての評価が一段二段グッと増した。それまでの旅の中で、少しずつ少しずつ溜めてきた伏線をバッチリ回収し、それでいて主人公ヒロインがそれぞれ自分の心に正直に一歩踏み出す様が最高でした。
それでいて、なによりも。
この作品の異能やクロニカの設定というのが、個人的な性癖に刺さったのが強い!
クロニカみたいなヒロイン大好きなんですよね、わたし。
そういうわけで、大絶賛! 大満足! 最高でした!
総評
ストーリー・・・★★★★ (8/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)
イラスト・・・★★★★ (8/10)
次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)
総合評価・・・★★★★☆(9/10) クロニカがすごい好き! 色々重い事情背負ってる女の子は可愛い!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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