ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part89】名探偵は推理で殺す

 今回の感想は2022年12月のファンタジア文庫の新作「名探偵は推理で殺す」です。

名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ (富士見ファンタジア文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 この世界でいちばん強力な武器、何かわかる? ……『名推理』だよ。

 高校生名探偵・明髪シンは、様々な世界から送られてきた大罪人たちが覇を争う【監獄界】に、とある依頼のために召喚された。悲劇の聖女・ルーザを助手に従え、シンは『推理』を武器に極悪人たちとの殺し合いに挑む!

 

感想

 様々な世界から罪を犯して死んだ罪人たちが集まる【監獄界】と呼ばれる場所で始まるバトルロワイヤル。罪人たちは元々有している技能や魔法に加え、その罪の内面を具現化する「罪威」と呼ばれる異能があり、探偵である主人公はそんな相手の能力を見極めて戦う――といった感じの、異能バトル要素が強い作品だったでしょうか。

 

 なので、そういう意味で見れば十分に楽しめるものでした。

 戦いの中で相手の能力を見極めて攻略する、みたいなのは異能バトルの一種の華ですし。

 罪の内面を具現化する能力、そしてその罪の本質を暴かれたときには自己崩壊してバトルロワイヤルから強制リタイアするという設定が中々面白いんですよね。

 特に、この設定活かされてるなと思ったのは。凶悪犯罪者の中には、自分の行動をとにかく正当化しようとする人間もいて、そういう相手に対して理詰めでその罪を暴いたところで相手はそれを認めないから意味がない、という部分ですね。

 真っ当に相手の能力を推理するだけでは犯罪者たちの戦いは勝てない、ということを示すと同時に、バトルロワイヤルで仲間(?)になった詐欺師の少女が見せる口八丁で相手を言いくるめる戦い方の魅力を見せるのにも一役買っていたのが上手いと思いました。

 

 また、本作のストーリーラインについて。

 主人公はロワイヤルに参加している中に1人冤罪を受けている人物がいて、それをゲームの運営側から探すように依頼されている、ということで1つ1つのバトルを切り抜ける起承転結とは別に大きな目的もあってシリーズモノとしての続きもしっかり気になるように作られていたのも良かったですね。

 その部分に関しては、そもそもこのバトルロワイヤルが行われている会場に潜む謎やゲームの運営側の陰謀なども絡んでくるようで、この辺りがしっかり解決するまでは続いて欲しいな思いました。この1巻の進行具合で言えば、少なくとも3巻くらいでしょうか。

 

 

 一方で、本作を読んでいて少し気になった点があります。

 それは主人公が持つ48の探偵技というもので。

 冒頭からこの主人公「探偵は相手の目線や筋肉の動きから銃弾の軌道を予測できる」とか言い出すんですよね。そして、これと同等の技能を48持っていると。作中でいくつか使っていますが、どれもこれもちょっぴり常識越えてないかと思わせるような超技能で、最初は「探偵だからって何でもできると思ったら大間違いだぞ」と言いたくなったのです・・・

 

 ・・・でも、ちょっと待てよ、と。

 

(・・・見た目は子ども頭脳は大人、銃弾を避ける女子高生、空手やらジークンドーやらボクシングやら最近はバトルが常習化して……)

 

 と、脳裏によぎった瞬間に「うん。探偵アクションモノなら、このくらい普通だよね!」と全て納得できてしまいました。

 

 完全に本作の内容からずれてますけど、

 こうした探偵アクションでちょっとくらいファンタジーじみたすごい技術を主人公が持っていても、それを普通にエンタメとして受け入れられるようになっているのですから、有名作品の影響ってすごいんだなと実感した作品でもありましたね。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★☆ (7/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10)

 次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) この1巻では無難に面白い異能バトルロワイヤルという感じでしたね。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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