今回の感想は2023年4月のGA文庫新作「「キスなんてできないでしょ?」と挑発する生意気な幼馴染をわからせてやったら、予想以上にデレた」ですね。
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あらすじ(BWより引用)
「それなら、試しにキスしてみる?」
高校二年生、風見一颯には生意気な幼馴染がいる。
金髪碧眼で学校一の美少女と噂される、幼馴染の神代愛梨だ。
会う度に煽ってくる愛梨は恋愛感情など一切ないと言う一颯に、
「私に魅力を感じないなら余裕よね」
と唇を指さし挑発する。そんな愛梨に、今日こそは“わからせて”やろうと誘いに乗る一颯。
「どうした、さっきのは強がりか?」
「そ、そんなわけ、ないじゃない!」
引くに引けず、勢いでキスする二人。
しかしキスをした日から愛梨は予想以上にデレ始めて……?
両想いのはずなのに、なぜか素直になれない生意気美少女とのキスから始まる焦れ甘青春ラブコメディ!
感想
幼馴染がイチャイチャしてるだけの小説。
それ以上でもそれ以下でもありませんでした!
なので、イチャイチャを楽しむという意味では満足! それ以上のもう一歩を望む気持ちとしては物足りない! って感じですね。
本作は作者自身あとがきで仰っていましたが、縦ストーリーよりも横ストーリーを重視して、1話1話の掌編で楽しむ方向で大きな強みを持つ作品。
それを活かした幼馴染のイチャイチャ、幼馴染だからこその距離感やノリが存分に発揮されていてこれは実に良かったです。大満足。
しかし、一方で「幼馴染だから〜」の展開とは対照的な「〜したから、〜」の描写が弱いと感じました。
例をあげるなら本作のタイトル部分でして。
タイトルの内容を分解すると、
「幼馴染のノリでキスでもしてみる? と挑発される」→「実際にしてみたら予想以上にダメージが大きかった」→「その結果、それまでと接し方が変わってしまう」
という、AだからB、Bの結果Cが生じる、みたいなプロセスがあるわけです。
でもって、幼馴染だから◯◯をする、幼馴染だからこそ◯◯はできない、みたいなのはこの前者「A→B」の部分に当たるわけで。ここはね、本作すごい良かったんですよ。幼馴染が積み重ねてきた関係性をちゃんと分かってるなと思いました。
しかし後者の「B→C」の部分が本作は弱く感じたんですよ。
タイトルの「わからせた」や「予想以上にデレた」というという部分も正直弱かった。ぶっちゃけ分からせたというほどの要素はないし、1巻を通してめちゃくちゃデレると言えるほどの劇的な変化はない。終始同じようなテンションのままイチャイチャしていた。あと帯に書かれている「このあとめちゃくちゃキスをした」は普通に帯詐欺。そんなにキスはしてない。
なので、いつもの幼馴染の感覚でやっていた行動が、何かの拍子で大きな変化をもたらす。その変化に対して「幼馴染だからこそ、これは変えたくない譲れない、これはもう一歩踏み出したい」そういう強い感情が見えてくれば、より一層に幼馴染という関係性に深みが増して良かったんじゃないかなぁと。
幼馴染という関係性を上手く活かしたイチャイチャは、何度も言うけど本当に見事だった。
しかし、それ以上になれない。
これが惜しい作品だなと思ってしまいました。
まぁ、ある意味でこの作品そのものがそういう進展できない幼馴染の関係性のメタファーだというなら、めちゃくちゃ上手いと思いますけど。そういう意図の作品、だったんですかね? だったら、ここまでの私見は全部いらないやつになりますよ。
総評
ストーリー・・・★★☆ (5/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)
イラスト・・・★★★ (6/10)
次巻以降への期待・・・★★☆ (5/10)
総合評価・・・★★★(6/10) 幼馴染の上手なラブコメなのに、あと一歩が足りない
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。