今回の感想は2023年4月のPASH!文庫新作「さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう」です。
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あらすじ(BWより引用)
妹とこの世界を救うため
私、悪役令嬢はじめます。
余命わずかな妹を持つ庶民の少女・澪。
しかし、ある取り引きから澪の人生は一変する。
「わたくしの代わりに悪役令嬢になりなさい。そうしたら貴女の妹を助けてあげる」
財閥御用達の学園に入学し、良心と葛藤しながらも悪役令嬢を演じて破滅を目指す澪。ところが、自分を断罪するはずのクラスメイト達には、なぜか澪の素性がバレているようで……!?
すべてはみんなの幸せのため。泥臭く走り回る澪に、破滅の日は訪れる……のか?
感想
不治の病を患い余命三年を宣告されてしまった妹の雫。どうにかして助けてあげたいと願う姉の澪が出会ったのは、紫月という少女。
彼女はこの世界が実は乙女ゲームの世界であること、そして自身が悪役令嬢として破滅し、正ヒロインがハッピーエンドを迎える結末にならば、妹の病を治療する手段があるということ。
紫月の代わりに悪役令嬢になってくれるのなら、雫に必ずその治療を受けさせてあげると、そんな取引に応じた澪。
大切な妹を救うために、悪役令嬢として破滅する未来を手に入れるための戦いが始まる、といった感じのお話でしたね。
面白かったですね〜。
妹のために、その一心だけでどこまでもがんばり続ける澪がすごい好き。
お嬢様としての常識だとか教養だとはかはもちろん大変だろうけど、何よりも他人を意図的に傷つけなきゃいけないという精神的な苦労がものすごく大きそうだから。
そして現状、彼女には共犯者で協力者となる紫月やシャノンという仲間はいるものの、その弱音を吐き出せる相手はいないから。いつか擦り切れるんじゃないかと心配してしまう。
だから、彼女にそういう心を許せる相手がいたらいいな〜、とは思うものの。悪役令嬢としての破滅、正ヒロインのハッピーエンドを迎えなければ妹を救えないという状況ではそうもいかない。
読者視点では。
元々のゲームのシナリオと既に変わってきてしまっているのだから、それに応じた別の希望があるんじゃないか? とか。
悪役令嬢が正ヒロインポジションになってしまうパターンでハッピーエンドになって、解決する方法もあるんじゃないか? とか。
色々抜け道を考えてしまうけれど、澪からしたらそんな可能性は全く意味がないんですものね。もしそうだったら、それでいいけど、その可能性が外れたら妹を救えないんだから。既にルートが外れてしまっているのが分かっているとしても、少なくとも本来のシナリオには確実な希望があると分かっているからそこに賭けるしかない。
個人的には。
この先、少しづつズレてしまった、その結果本来のルートとは違う何か希望が見つかって。しかし定められている運命は逃れられないというようにやはり悪役令嬢をやりきらなきゃいけないんだ、という希望を打ち砕くような展開を期待したいところです。
まぁ、だからなにはともあれ。
この先、澪にどんな未来が待ち受けるか、これが気になって仕方ない。
と、キャラと今後の展望についてばかり話していますが、ぶっちゃけこの1巻で大きな盛り上がりみたいなのがないので話すことがないんですよね💦 悪役令嬢としてがんばろう、という序章でしかない。
そもそもの構造的に本作のいちばんの見所は「主人公が破滅して妹を救う」というものになる以上は仕方ない部分ではあると思いますが。
なのでそれは良くも悪くも、今後に期待、としか言えませんね。
また余談として。
今回わたしは「電子特典SSがめっちゃいい!」という話を聞いて電子で読んだのですが、たしかにこれは良かった! 澪が雫のためにがんばり続ける一方で、自分のためにがんばり続ける姉の身を案じる雫の思いが赤裸々に綴られてて、めっちゃいい姉妹だな〜って思える内容。
この姉妹愛は推せる! ってなりました。
総評
ストーリー・・・★★★ (6/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★★★☆ (9/10)
総合評価・・・★★★★(8/10) 推せる姉妹愛と続きが気になる展開が良かったですね!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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