ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part90】スペル&ライフズ

 今回の感想は2023年1月のオーバーラップ文庫の新作「スペル&ライフズ」です。

 ※2巻まで刊行中(2023年6月)、今回は1巻を読んだ感想です。

スペル&ライフズ 1 恋人が切り札の少年はシスコン姉妹を救うそうです (オーバーラップ文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 『スペル&ライフズ』――魔法(スペル)と召喚獣(ライフ)をこの世に顕現させる異能のカード。17才の少年・桐谷駿(きりや しゅん)はそれらを操る力に覚醒したプレイヤーだ。全てのプレイヤーが集う人工島・色藤島(しきとうじま)にて、駿はある日、不正渡航者の少女・萌葱咲奈(もえぎ さな)と出会う。

 非プレイヤーの咲奈は、この島で行方不明となった姉を追ってきたらしく――?

 とある事情から咲奈に協力することとなった駿は、駿の恋人を自称する少女・ミラティアとカードを駆使して調査を開始。その人探しはしかし、異能の力に魅入られし存在の意志と思惑に繋がっていた。導かれるように、駿はカードを巡る戦いへと巻き込まれていき――。異能と頭脳、そして恋人。切り札は――その全てだ。

 

感想

 本作はあらすじにも述べられているように、スペル&ライフズという、魔法や召喚獣を具現化する異能のカード。それを扱えるものだけが集まる人工島を舞台にしたファンタジー作品。

 主人公の駿と、その恋人であるミラティア。

 二人が不正渡航者で、行方不明の姉を探しているという咲奈に出会うところから始まるお話です。

 

 まずストーリーについて

 主人公である駿は、かつてスペル&ライフズの能力を人間に埋め込むための非合法な実験施設にいて、しかし事故によって施設が無くなり、妹と生き別れになってしまったという背景があるみたいでして。

 咲奈の姉探し、というのが島の暗部に繋がる可能性があるということから、駿も妹の手がかりになるのではないかと協力することになります。

 

 この辺りが序盤で語られた時点で。

 生き別れの妹。行方不明の姉。非合法な実験。

 という、シリアスには十分な要素、かつ駿や咲奈の目的意識や話のゴールというのを明確に示してくれているので、話に入り込みやすい。

 素直にワクワクしながら読めました。

 そしてサラっと最後のネタバレをしますが、主人公の妹ちゃんが何だかブラコン拗らせたヤンデレみたいになってて、すっごい続きが気になってしまう(笑)



 続いてキャラ

 既に言ったように、駿も咲奈も目的がはっきりあって、そのために行動するという部分でまず好感が持てます。

 

 けど、しかし、それ以上に。

 

 そして重要な本作のメインヒロインのミラティア、これがもう可愛い!

 

 というか性癖!

 

 サブタイトルからお察しですが、実は彼女は「恋人」のカードで召喚された子ということで、まずこの人外ヒロインというのが好き!

 恋人を自称して、駿のことが好きという真っ直ぐな愛情を惜しみなく見せてくれる。逆に駿以外は些事として扱うような態度が可愛いのは言うまでもなく。基本的にマイペースで、プリンが大好きなのでなんか常にプリン食ってるようなマスコット的可愛さまであるが良いですよね。

 また彼女はカードから召喚される中でも、自由意志を持つ特別な存在。そして「恋人」というカードの彼女は、自分の持ち主を自分で選ぶ性質があるのだとか。

 この1巻では語られていないですが、つまるところミラティアと駿が今の関係に至るエピソードがあるというわけで、これが非常に気になるところですね。

 

 そんな感じで基本的にキャラは単独で見ても良い作品だったわけですが、それ以上に本作はキャラ同士の掛け合いが良かったと思っています。

 不法渡航なんてことをするくらいにはまず体が動くというタイプの咲奈。これがまぁ~実に面白いように駿にからかわれるわけで、ここに駿大好きで駿全肯定なミラティアも加わると、咲奈の弄られキャラとしての側面がどんどん出てくる。その上で咲奈はツッコミ役もこなしてくれるものだから、更に見てて楽しい子になっていると。

 飄々としたタイプの主人公に、マイペースな人外ヒロイン、弄られキャラ兼ツッコミ役という三人が見事な調和を生み出していました。こういう会話劇のテンポや面白さはなかなかこうした感想では伝えづらいのがもどかしいところですが、とにかく良かった!!

 

 

 あとは軽く設定の部分

 異能のカードを使ってバトルする。

 これがシンプルなファンタジーバトルもできれば、カードを使った特殊な場を形成することで頭脳戦っぽいこともできたり、かなり幅広く活かせそうなので今後そういう面白さも期待したいところ。

 

 一方で、主人公の駿が持つ能力。

 過去の実験で埋め込まれた力というのが終盤に明かされるのですが、一見すると「いや、流石にチートだろ……」と言いたくもなる代物でして。

 ただ、そこまでにミラティアの能力がサポート寄りであること、ミラティアとの代償として駿は扱えるカードの種類に制限があること、その結果バトルは基本的に駿自身が前面にでなければならないこと、なんかが描かれているので。

 主人公だからこそめっちゃ強い能力あるけど、何でもアリにはしないように上手いこと中和していたのかな? という感じ。

 今後、このバランスが崩れないことは切に願いたいところです。

 

 あと言うとすれば。

 カード1枚1枚の細かい部分まで注目するとルールというか、設定説明がちょっと整理するの大変だったり、そうなると粗がありそうだったりするので、そこは雰囲気で読んだ感はありますね。



 とりあえずまとめると。

 

 分かりやすい目標と楽しいキャラの会話劇、そして王道な異能バトル!

 

 って感じの作品でした。

 個人的にはこういうファンタジー好きです。

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)

 設定世界観・・・★★★☆ (7/10)

 キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 分かりやすい目標と楽しいキャラの会話劇、そして王道な異能バトル!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

bookwalker.jp