今週も読んだ作品の感想をまとめていきます。
1:7月17日~23日に読んだ作品
今週読んだのは以下の7冊ですね。
・愛され天使なクラスメイトが、俺にだけいたずらに微笑む
・スペル&ライフズ 2
・いもーとらいふ 上下
・ありす×ユニバース -キャプテンはJK-
・アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ-
・オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。 3
2:読んだ作品についてのお話
※以下画像はAmazonリンク
愛され天使なクラスメイトが、俺にだけいたずらに微笑む
パティシエを目指す主人公とクラスのマスコット系ヒロインによる甘々ラブコメ。ヒロインはお菓子の試食係として、主人公は蝶よ花よと育てられて常に周囲から世話を焼かれてしまうヒロインの自立のお手伝いとして、始まる関係のお話。
そんな本作は正直微妙と言わざるを得ませんでした。
まず第一にメインヒロイン以外のキャラの言動にしばしば違和感が見られること。この違和感の原因として、単純な描写不足、1巻を通じて十分な掘り下げがされていないこと。そしてキャラの掘り下げもしなければストーリーとしての進行も乏しく、1巻全て通してキャラとタイトル紹介で終わってしまったように思いました。
またパティシエを目指す主人公という設定ですが、実際にお菓子を作るような描写もほとんどなければ、基本的にはヒロインと一緒にお菓子を食べてラブコメしているだけなので、本作固有の設定を活かすこともないというのが少し残念でしたね。
甘々ラブコメとしての要素だけで言えば、ヒロインの可愛さやイチャイチャ展開への導入のスムーズさなど非常にレベルの高い作品だと思うのですが。そうであるからこそメインとなる甘々をくすませてしまう違和感が際立ってしまったように思います。
この不満点に関する具体的な話は以下の記事でまとめています。
スペル&ライフズ 2
うん、今回も面白かったですね!
今回はオラクルによる運命シリーズを集める計画、恋人と女帝を狙った魔の手が忍び寄る中で、表紙の女の子「月」のルルナから襲撃されることから始まるお話でした。
やはりキャラが見てて楽しいというのは良いですね。ミラティアのシュン大好きな言動の数々がいちいち可愛いですし。特に幻覚使って衣装やら見た目やら変えてくるのが強い。そんなミラとは違う方向性でシスコンしてる那奈が加わって、妹の咲奈はツッコミ役大変そうだなぁと。
バトルでは、ミラティアが単独でも最強格の名に相応しい無双っぷりを見ていたのが良かったですね。シュンの前じゃないから、可愛く見られる必要ないから、容赦しなくていいよねという感じ。そしてそんな恋人の性質を分かった上で、駿がミラティアに一人で行かせるという信頼を感じるところもグッドでした。
いもーとらいふ 上下
兄と妹、二人で一生の時間を過ごす。
ただそれだけのとても尊いお話でした。
兄だから、兄である。妹だから、妹である。他の何者にも代えることなどできない二人の兄妹だから。そんな理屈でどこまでも純粋で綺麗過ぎる家族愛の在り方が素晴らしかった。
この綺麗すぎるっていうのは、そう見えるほどにそれ以外がくすんでいたということでもあって。周囲から見たら歪にしか見えなかったり、そこにいる当人ですらその完璧と歪の狭間で正しいとか間違いとか、幸福とか不幸とかに迷ったり悩んだりして終始地を這うような空気感で綴られる文章。
だけどどうあっても結局、最後に行き着くのは他の何物をも切り捨て兄妹二人で一緒に、という。生まれてから死ぬまで、たったそれだけの答えを描くための長い長い時の流れと心の機微を詰め込んだ上下巻の物語、大変満足でした。
個人的には、下巻における妹視点のお話。色々と悩んだりしている兄とは対照的に、にーさんの妹である、というたった一つの事実だけが彼女の軸になって生きてきたことがありありと伝わる内容がめちゃくちゃ好きでした。ここまで綺麗であれることがどれだけすごいことか。
ありす×ユニバース -キャプテンはJK-
アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ-
とある学園の理事長の娘である西園寺ありす。とある宇宙海賊の船長である少女アリス・サイオンジ。そんな二人が平行世界を超えて入れ替わってしまうことで始まる2つの物語。
アリス×アカデミィは文字通りに、宇宙海賊だったアリスがいきなり普通の学園に放り出されて。主人公の歩吹がそれと出会うところから始まる青春ボーイ・ミーツ・ガールな感じ。
一方のありす×ユニバースはヒロインのありす視点で話が進み、いきなり宇宙海賊の船長の代わりをやれと言われて右も左も分からない中、操舵手の青年フブキと何だかんだでボーイ・ミーツ・ガールする感じ。
まず本作は主要キャラ全員が同じ名前で共通している2つの平行世界のお話なので、アリスもありすも自分の身近にいた人たちと、平行世界で出会う人たちとのギャップに戸惑ったり。あるいはどんな世界にいてもその本質は変わらないというような在り方を感じたり。そういう部分はこういう作品ならではって感じで素直に良かったんじゃないかと思います。
そして1つ1つの話に目を向けると。
最初に読んだユニバースは。
ありすが中盤まではずーっと「これは夢に違いない」と思い込んで、とにかく自己中心的な言動が多くイラッとさせられることが多かったですが。まぁ、終盤は宇宙海賊なんてファンタジーにいきなり飛ばされて右も左も分からないままでも、できることをやろうとするのは好感が持てたかなと。
アカデミィは、ユニバースのフブキ君が毒舌クール系だったのと対照的に、主人公の歩吹くんが外面イケメンの内心腹黒系という感じで。貧乏と蔑まれていた過去のせいか、学園で玉の輿を狙っていて天真爛漫なクラスメイトの千歳を嫁候補として見ていたけれど、アリスと出会ってから何かが変わっていく……みたいな感じのやつで、これもシナリオ的には悪くないと思いました。
ただ、どっちも共通して言いたいのが。
ありす×フブキ、アリス×歩吹で意識し始めるまでの心情変化がよく分からないんですよね……。特にここで大きな要因だと思うのが、ありすとアリスが入れ替わってから始まる本作なので、元々の世界にいる人たちとそれぞれがどのくらいの関係性だったかが分からないこと。そのせいで新しい世界の関係性を見せられても、その変化にそこまで大きな魅力を感じられない。
また、本作の2つの平行世界にまつわる話で。
果たして誰がどこまでこの入れ代わりの真実を知っているのか、黒幕が何を意図していたのか、そういった謎に対する明確なアンサーがない。てっきり2冊合わせて完全に補完されるような形かと思ってたらそうじゃないみたいで……。そこが正直消化不良。
それに伴いこの1冊1冊としても、この2冊のまとまりで見ても物語が綺麗に閉じられているように感じられないのも個人的にはマイナスですね。
※ちなみに一応刊行ナンバー的にはアカデミィ→ユニバースの順らしいですが、わたしはそんなのを全く気にしてなかったので逆に読んでいたみたいですね。
オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。 3
2年ほど前に2巻読んでから、3巻を読むタイミングを見失ったやつ。作品自体が苦手で読んでなかったわけではないので、今回ようやく読めて非常に満足してますね。
3巻では新しい屈折のデザイア持ちの留学生ハンナの問題に関わる中で、弥代がこれまで以上に自分自身に向き合うそんなお話になっていました。
今回のキーとなるハンナの持つ屈折のデザイアは「相手の感覚を自由に共感する」こと。それは本当の友達がほしいと願いながらも、相手の気持ちを勝手に読み取る卑怯者の八方美人にしかなれないというジレンマを押し付ける代物。それだけならまだしも、本当の友達がほしいと願う根底にあるのは他人から嫌われることを恐怖するという気持ちであって、八方美人にしかなれないというのはその気持ちすらも容易に壊し得るという矛盾。
どうしようもないくらいに拗れたハンナの願いと行動、その中で真に向き合うべき事柄は何なのか。相手に配慮すること、相手を思いやること、似ているような違う2つの事柄だったり。弥代のお姉ちゃんが言っていた、対立する意見や価値観とかそういうものを抜きにしても絶対的に変わらないもの、これが中々に確信をついているなと思ったりもして。
結局、どうしようもないほどに簡単な「最初からそう言えれば良かったのに」と思うような答えを必死になって掴もうとする姿は、実に良いものでした。パンツが履けない、なんていうラノベラノベしたようなタイトルながら真剣に思春期のジレンマに向き合っていたシリーズでしたね。
強いて言えば弥代を取り巻くラブコメが決着していないこと。これだけが残す不満でしょうか。この3巻で完結のシリーズになってしまって、それが打ち切りだったのかどうかは分かりませんが良いシリーズだっただけにこれが残念です。
おわりに
今週は積まれていた過去作を崩す週間になりましたね。
というのも、ガガガ文庫やファンタジア文庫の新刊が発売されている週間なのですが、来月からメロンブックスさんのノベル祭りが始まるみたいで、それに合わせて新刊新作を買うことにしようかなと思いまして。
その結果として今週は新作新刊をあまり読めてない期間になりました。
転生王女と天才令嬢の魔法革命7巻くらいは最低限買って読みたい衝動があるんですけど・・・!!
ともあれ、そういうわけなので来週や再来週も引き続き過去作の積みを適当に読んでいこうかと思っています。
では、今回の読書記録はこれでおしまいです。