ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part96】ドスケベ催眠術師の子

 今回の感想は2023年8月のガガガ文庫新作「ドスケベ催眠術師の子」です。

ドスケベ催眠術師の子 (ガガガ文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 前代未聞!? ドスケベ感動巨編!!!

「ドスケベ催眠四十八手――夢幻狂気」 

 転校初日に“狂乱全裸祭”を引き起こしたそいつの目的は、俺の協力をとりつけることだったらしい。

 「私は片桐真友。二代目ドスケベ催眠術師。いえい」(だぶるぴーすぶいぶい)

 ――ドスケベ催眠術師。

 俺にとっては悪夢そのものの名前だ。誠に遺憾ながら、その初代こそが、俺の父親だからである。縁を切って、苗字まで変えたのに。

「サジ。ドスケベ催眠術師の子として、私の仲間になってほしい」
「断る」

 催眠女子×闇系男子のタッグ成立!? ドスケベ催眠×青春コメディ!!

 

感想

 うん、期待通りの良いドスケベでしたね。

 と言っても、内容はドスケベドスケベしてるわけでなく、どちらかと言えばドスケベ催眠術師という在り方に向き合う少年少女の物語。ともすれば、これも一種の青春と言えるのではないだろうか? というドスケベ青春物語なのでした。

 

 まずは、改めて本作の内容を振り返ると。

 

 ドスケベ催眠術師の子であり、しかしながら幼い頃にそれが理由で周囲から厳しい目を向けられたことで、それを黒歴史として、平穏を守るためには合理的であるべきとする主人公・佐治沙慈は、ある日転校してきて二代目ドスケベ催眠術師を名乗る少女・片桐真友と出会う。

 二人は、沙慈の父であり、真友の師である今は亡き初代ドスケベ催眠術師にそれぞれとある催眠がかけられていて、その解除のために沙慈は真友のドスケベ催眠術活動に付き合わされることになるのだった。

 

 といった感じで始まるお話です。

 

 常にマイペースで淡々とドスケベ催眠術を使う真友。

 転校早々に自分がドスケベ催眠術師であることを見せるためにクラスメイトを全員全裸にしたり、あるいは自分の催眠術がかかるような相手は肉人形にしか思えないどうしようもない職業病を平然と言ってのける。そして、常に巨乳に怨念を持つ。

 そんなローテンションヒロインに振り回されてはツッコミする主人公というのが1つ様式美のような形。これはシンプルに見てて楽しいものでした。

 

 そして、本題となるのはやはりドスケベ催眠術活動。

 真友が施すドスケベ催眠術は、ドスケベ催眠オブリージュに乗っ取った誰かを助けるための正義の催眠術。沙慈が黒歴史とした、自分の父のようなものではない。彼女は自分の父からドスケベ催眠術を教わったというのに。

 一体何故?

 やはり、ここに関わってくるのは、二人それぞれにかけられている催眠術。

 当然、二人の過去に繋がってくる問題。ドスケベ催眠術に対する世間の目。忘れてしまった過去があったかもしれない。そこには良い思い出なんか1つも無かったかもしれない。だけど世界中の99%がそれを悪だと言っても、1%の誰かにはそれが救いであるかもしれない。

 催眠術は結局、事実を無かったことにできるものではない。

 しかし、かといって催眠術がもたらす心の変化は決して嘘なんかではない。

 

 だから、この作品は。

 ひいては沙慈と真友、二人のドスケベ催眠術師に関わった少年少女の物語は。

 どうあっても最終的にドスケベ催眠術師というもの、過去の自分と現在の自分にどう向き合うかという着地点にしかやってこないのだろう。

 そこにはある種の少年少女らしい確かな青春を醸し出し、しかしそう思った直後にこんなドスケベ催眠術師とかいうものにまつわる話を青春なんて綺麗な言葉にするのはちょっとなぁ~……、と少し振り返ってしまうのです。




 もっと簡単に、ざっくばらんに感想を言うなら。

 この作品はドスケベ催眠術師とかいうパワーワードで始まって、実際何でもアリなその催眠術の実態を見せながら、一見するとアホアホしい感じのやつなのに何か良い感じ風のお話にまとめてくるタイプの作品ですね。何でこういう作品って、こうも上手くまとめあげることができるのかと毎回すごいと思う。

 もしくはマイペースヒロイン可愛いな~と思いつつ、ドスケベ催眠ASMRってどんなものだろう? 聞いてみたい! 囁きボイス! ハァハァ! と頭アホにしてても楽しめる作品でもありましょう。個人的に真友ちゃんと、その友人(?)の累ちゃんによる百合味が今後どうなるのか実に気になるところですしね!!!

 もちろん沙慈と真友のこれからも気になるところです。協力関係で始まってラブでコメるなんてあり得ないと言っていた関係が、二人で問題を乗り越えた後なら……、はてさて。

 そんな感じなので、わたしとしては、実にラノベらしいラノベで好きなやつで、楽しめた感じです。

 

 というわけで最後に総評です。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★ (6/10)

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★★☆ (9/10) (やはり浜弓場先生のイラストは神です♪)

 次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) ドスケベ催眠術師の子!!!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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