ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【雑談ex3】このライトノベルがすごい2024 投票作品紹介

 本日「このライトノベルがすごい2024」が発売されました!!

このライトノベルがすごい! 2024

※画像はAmazonリンク。また以下、全て画像はAmazonリンク。

 

 ぎんちゅうは今年も「銀中」と言う名前で協力者として参加させていただきました。

 179ページでわたしの投票した5作品を見ることができますね。(1カ所誤字があるのに、気づいていなかったんです。ちゃんとチェックしたはずなんですけどねぇ)

 

 今回は、この投票した作品について「投票に際してのコメント」「何故この作品を選んだのか」なんかをお話ししようかと思っています。それに付随して「この作品も悩んだけど入れられなかった」という作品もいくつかお話しできたら、と思います。

 

 

ぎんちゅうの投票作品

1位投票:死亡遊戯で飯を食う。

死亡遊戯で飯を食う。【電子特典付き】 (MF文庫J)

 投票時のコメント:「衝撃の1巻から一瞬にして読者の心を掴み、そこから年間4冊刊行の安定感と、巻ごとに新しい面白さを演出する柔軟さを存分に発揮し、読者を沼に引き込む。これこそまさしくエンターテイメントの体現。最高ですね!」

 

 というわけで、1位投票は死亡遊戯です!

 新作ランキングで1位、総合2位という想像以上の人気を見せてくれた作品でビックリでしたが、自分が1位で選んだ作品が多くの人に好かれていると思うと何だか嬉しいです。

 改めて、投票に踏み切ったポイントをいくつかお話ししますと。

 やはりまず第一に面白い。1巻から話題性が抜群で、内容も新人賞らしい個性がバチクソに尖っている作品で、わたしもグッと心を掴まれたのを覚えています。

 そして、やはりそれ以上に大きな強みとなったのはその刊行ペースだと思います。約1年間で既に4冊刊行されており、1巻のインパクトで掴んだ読者の心を手放すことがなかった。これなんですよ。やはりシリーズモノのラノベである以上、それが安定して刊行されるというのは読者としても安心感があって、真っ直ぐに応援できますし、読み続けられるんですよ。

 そして言うまでもありませんが、本作はゲームモノの作品であるため、毎回毎回手を変え品を変え、様々なゲームを描くことで常に読者に新鮮な面白さを提供してくれます。

 これだけの要素があれば、そりゃ人気になりますよと。

 もちろん内容は尖っていますし、そこに好みはあるでしょう。苦手という読者もいるでしょう。しかしながら「たとえ100人中50人が好きな作品でも、合計1000人の読者がいる作品」なら、「100人中90人は好きな作品で、合計100人の読者いる作品」よりもその作品を好きだという読者の総数は多いように。

 この作品は、とにかく読者の心を掴み、それを離すことがなかったというのが最大の強みだった、そう思います。

 

 1巻読んだ当時の新作ラノベ感想は以下のリンクより

【新作ラノベ感想part12】死亡遊戯で飯を食う。 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

2位投票:クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所

クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所 ~看板ネコ娘はカワイイだけじゃ務まらない~ (電撃文庫)

 投票時のコメント:「異種間コミュニケーションとはこうでなくては!これは「異なる種族」「年代の差」「慣習、価値観の違い」あらゆる差異を通じて、それでも交流して相互理解しようとする人の営みの美しさと尊さを愛の物語で彩っている傑作!」

 

 というわけで、2位投票はクセつよ!

 コメントに書いているとおり、異種族をテーマとして扱った傑作と言ってもいいほどの作品。

 結婚相談所というラノベではあまりみかけない舞台設定ですが、それを囲む世界観の作り込みというのがとにかく素晴らしい。単なる異種族婚という内容にとどまらず、それはともすれば現実で言語圏の異なる人たち同士のコミュニケーションでも見られるような相互理解というものをどこまでも真摯に描ききっている。

 そうでありながら、その全体の物語というのは結婚や愛といった普遍的な面白さを持つもので、ときにシリアスあり、ラブありな、ラノベらしい楽しい読み口で読めるというのが本当に最高なんですよ。

 

 しかしながら、そんな本作ランキング100位圏外どころか、作品紹介にも取り上げられないという……、普通に泣きました。

 

 1巻発売当時の新作ラノベ感想のリンクを貼っておくので、気になったら読んでみてください。もっといえばこんなわたしの感想は読まなくてもいいので、作品を読んでみてください。

【新作ラノベ感想part65】クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

3位投票:ドスケベ催眠術師の子

ドスケベ催眠術師の子 (ガガガ文庫)

 投票時のコメント:「タイトルの圧倒的パワーワードで優勝!しかしそれだけでは決して終わらず、読み終わればこのタイトルしかないと、そう思えるだけの少年少女の青春を描ききった作者の技量にこそ優勝を捧げたい快作です!」

 

 3位にはドスケベ催眠術師の子がきました!

 いやぁ、これはもう言うまでもなく最高じゃないですか?

 わたしの中では、これこそ理想のライトノベルなんですよ。

 タイトルのインパクトで読者を引いて、読んでみると意外や意外にものすごーく真っ直ぐな青春をやっていて、楽しくどんどん読み進められて、最後はなんか良い感じな話にしっかりまとめてくれて読み終わると「あ~、楽しかった!」って笑顔で言えるような作品なんです。

 めちゃくちゃ熱中するような面白さや、思わず泣いてしまうような傑作とは方向性は違うと思いますが、こういう”とにかく楽しい良い作品”っていうのはやっぱりライトノベルとしては一定の供給があってほしいのです。

 (できれば、供給だけじゃなくて需要もあってほしいですけどね。だって需要がなければ供給されないじゃないですか。だからさ、おかしいですよね。絶対おかしいですよ。おかしいに決ってます。何がおかしいって、このドスケベ催眠術師の子とかいう最高のラノベが新作ランキングどころか、総合100にすら入っていないの。他のガガガ文庫新人賞はこぞってランクインしているというのに。てか、協力者すらわたししか投票していないのやばくないです? 皆さんは果たして一体ラノベというモノの何を見ているというのか甚だ疑問ですよ(自分の価値観の押しつけがやべぇ)。あ、協力者といえばわたしのドスケベ催眠術師の子のコメントは155ページに載ってるので気がついた人がいたら嬉しいな。ともあれ、わたしはこんな現実を認めないのです。ドスケベ催眠術師の子、もっと読まれろー! そのためにここでラノベ読者全員にドスケベ催眠術師の子を読まねばならないドスケベ催眠かけるしかないのでは? そうです、そうしましょう、それがいいですね! では早速……、誰がかけるの? 真友さーん、わたしがキャラ投票で3位に入れた片桐真友さーん。二代目ドスケベ催眠術師の子はいらっしゃいませんかー? いたらお願いします。お願いします。ドスケベ催眠術師の子という快作を世に知らしめたいのです。何卒何卒(こういう阿呆なことを言う奴がファンについているから敬遠されるのでは? と思うけどそういうのは言わない。お約束)。)

 

 そういう意味では、少し話が離れますが、つい最近発売されたばかりの「忍ばないとヤバい!」もこういうタイプの作品ですよね。一昨年でいえば「世界征服系妹」でしょうか。

 最高に楽しいライトノベルって感じで。

忍ばないとヤバい!【電子特典付き】 (MF文庫J)世界征服系妹 (電撃文庫)

 実際世界征服系妹は一昨年に2位で投票しています。

 そうなると、おそらくですが、わたしは来年のこのラノ2025には忍ばないとヤバいが2位か3位あたりで絶対に投票しますよ。間違いないです。

 

 最後に「ドスケベ催眠術師の子」と「忍ばないとヤバい!」の新作ラノベ感想のリンクを貼っておきますね。

【新作ラノベ感想part96】ドスケベ催眠術師の子 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

【新作ラノベ感想part115】忍ばないとヤバい! - ぎんちゅうのラノベ記録

 

4位投票:不死探偵・冷堂紅葉

不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で【電子イラスト特典付き】 (GA文庫)

 投票時のコメント:「異能力を作品のアクセントとして主人公ヒロインの事情に踏み込み、ささやかな会話や恋の気配が二人の魅力を引き出す。そんな心地よい読み味を担保した上で、ミステリの醍醐味を存分に魅せてくれるのが素晴らしい!」

 

 わたしの4位投票は、新作8位、総合14位になったこちらの作品!

 これはもうコメントに言ったのが全てです。

 異能力をアクセントとしてキャラ小説としての魅力を存分に発揮しながらも、ミステリの醍醐味も味わえる。そんな2本の軸がはっきりしているため、非常に楽しく読むことができる作品でした。

 特に本作のミステリ部分には読者への挑戦状があるのですが、事件の推理パートでは異能ありきで情報を集めていく、一方でその集めた情報から導き出される事件のトリックは決して異能を使った突飛なものにはしないため常に読者にフェアである。これがすごく良いのですよ。

 

 昨今少しずつ数を増やしてきているミステリ要素のある作品。

 直近では「誰が勇者を殺したか」なんかはものすごく話題になっていて、来年の新作ランキング1位筆頭候補な感じがありますよね。(わたしは残念ながら楽しむことができなかったのですが)

誰が勇者を殺したか【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)

 ここからこの話題性を上回るやばい作品が出てくるのか、はたまた意外なところからダークホースが現れるのか。来年のこのラノも今から既に楽しみですね。

 

 最後に「不死探偵・冷堂紅葉」と「誰が勇者を殺したか」の新作ラノベ感想のリンクを貼っておきます。(※誰が勇者を殺したか、はわたしが楽しめなかった作品としての感想になっています。)

【新作ラノベ感想part88】不死探偵・冷堂紅葉 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

【新作ラノベ感想part111】誰が勇者を殺したか - ぎんちゅうのラノベ記録

 

5位投票:幼馴染たちが人気アイドルになった

幼馴染たちが人気アイドルになった 1 ~甘々な彼女たちは俺に貢いでくれている~ (オーバーラップ文庫)

 投票時のコメント:「この作品、ダメ人間しかいねぇ! 心の底から「幼馴染への情<<<金」と言い切る主人公と、それに貢ぐことを辞めない幼馴染アイドル二人。あまりに希少な、この突き抜けたダメさ加減はもはや呆れを通り越して天晴よ」

 

 最後5位はこちらの作品になりました。

 コメントに述べたようにヒモ主人公と、それを養うことを辞めない幼馴染2人という構図のラブコメ(?)作品になっていまして、これは一周回ると「わたしは一体何を見せられているんだ?」あるいは「当事者たちが幸せならもうそれでいいんじゃないだろうか……(白目)」と思ってしまうような面白さがありました。

 内容が内容ですので、苦手という人は少なからずいそうですが、こういうバカバカしい内容にも全力で向き合えるのがジャンルの幅広いラノベの特色ではないかと思うわけで。

 わたしみたいに「なんかヤバい主人公の作品あるらしいぞ?」と思って気になる方がいたら是非一度手に取って欲しい作品でした。

 

 1巻読んだときに書いた新作ラノベ感想は以下のリンクより。

【新作ラノベ感想part95】幼馴染たちが人気アイドルになった - ぎんちゅうのラノベ記録

 

投票したかったのに、できなかった作品たち

 ここからは他の投票候補だった作品を見ていきましょう。

 個人的な候補として最後まで残っていたのは以下の4作品でした。

魔女の怪談は手をつないで

悪いコのススメ

さようなら、私たちに優しくなかった、すべての人々

週に一度クラスメイトを買う話

 それぞれタイトルに感想リンクを埋め込んでいるので、気になったら見てみてください。

 

 では改めてそれぞれの作品についてお話をしましょう。

 まずは魔女の怪談は手をつないで」について。

魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム (MF文庫J)

 ミステリに近いような、読んでいくとどんどん話の真相に近づいていき……、といった面白さがある作品で。オカルト、怪談をテーマにしてるだけあって最後には「ひえっ!」と声が漏れてしまう衝撃もありました。

 しかしながら、本作を今回投票しなかった理由がこの本作の強みの部分になってしまったという……。

 

 どういうことかと言いますと。

 わたしは5作品の投票をする際に1つテーマを決めて投票するようにしています。

 そして、今年は死亡遊戯をそのエンターテイメント性の観点から1位にすると決めた時点で「ライトノベルとして面白い、楽しい、笑って読むことができる」そういった部分を選出基準としました。

 

 そうなったとき、魔女の手が持つ少し複雑な設定と、それが生み出す入れ子構造で、意味がちゃんと分かれば末恐ろしいような作品というのは純粋に楽しいって言えるものとは方向性とは違うのでは無いかと。

 そう思ってしまったわけですね。

 

 

 続いて「悪いコのススメ」「さようなら、私たちに優しくなかった、すべての人々」について。

悪いコのススメ【電子特典付き】 (MF文庫J)さようなら、私たちに優しくなかった、すべての人々 (ガガガ文庫)

 この2つはもっと単純です。

 テーマの問題!

 前者は学校内における体罰や差別と、それに対する反逆を描いた作品で。

 後者はいじめによって姉を失った少女の復讐の物語。

 内容がシリアスというか、暗いというか……、純粋に楽しく読める方向性ではないじゃないですか。

 いや、もちろん5作品全部が明るい楽しいイメージで固める必要はないのではないかと、死亡遊戯だって殺伐とした内容ですし、こういう鬱屈した面白さもそれはそれでいいんじゃないかと思ったりもしましたが。

 死亡遊戯はあくまでライトノベルのシリーズものとしての読者を魅了し続けるそのエンターテイメント性を評価して選んだので、やはりこの2作品の面白さというのは今回のわたしの5選のテーマとしては異質になってしまうと判断して、最終的に断念しました。

 

 

 最後に「週に一度クラスメイトを買う話

週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~ (富士見ファンタジア文庫)

 見ての通りの百合作品で、今回はまさかの新作部門7位で、総合9位という高順位に入り込んできた作品。

 ですので、その面白さは間違いないですし、わたしも大好きな作品。

 ただ、これもまた主役となる2人の少女の徐々に変わりゆく関係性や心情という部分が最大の魅力であって、読めば読むほどに面白さが増すタイプの作品だったのがネックになりました。

 3位投票したドスケベ催眠術師の子では『読み終わると「あ~、楽しかった!」って笑顔で言えるような作品』という話をしました。

 それと同じような言い方をすれば本作は「あぁ、今回も良かったな……(しみじみ)」なんですよ。すっごい分かりにくいですが、楽しさの方向性が今回の5選とは違ったという話なんです。

 

 そういった理由で、今回最終的に残った4作品は断念することとなりました。

 どれも面白くて、大好きな作品であることは間違いない。

 しかしわたしの面倒くさい信条として、せっかく協力者として投票するのなら、その5作品をただ自分が好きだからと言うそれだけの理由では無くなにか1つテーマ性を持った5作品の塊として紹介をしたいなと思っているので、結果として今回はあの5作品を投票したわけですね。

 

 それから、最初から候補にしていなかった作品だけど、話しておかなければならないのが3作品ありますね。

 それは普段書いている新作ラノベ感想において☆10の最大評価をつけておきながら投票しなかった「Mother D.O.G.」「もしも明日、この世界が終わるとしたら」「蜘蛛と制服」についてです。

Mother D.O.G (電撃文庫)もしも明日、この世界が終わるとしたら (角川スニーカー文庫)蜘蛛と制服 (富士見ファンタジア文庫)

 これら3作品を投票しなかった理由は単純「性癖だったから」です。

 どういうことかと言えば、わたしの普段の感想の星評価は面白さとかではなく「わたしが好きかどうか」でつけているんですよね。

 そういう意味で「Mother D.O.G.」「蜘蛛と制服」はドチャクソに性癖ぶっっさりまくって大興奮不可避でしたし。

 「もしも明日、この世界が終わるとしたら」は感想を見てもらえば分かりますが「いろとりどりのセカイ」や「さくら、もゆ。」に情緒を破壊されて若干信者になっている漆原先生の文章大好き人間としての好き好き大好き超愛してるという感想しか出てこないわけです。

 

 しかしながら、そんな頭馬鹿になっている状態でしか評価できない作品を投票できるのかという問題。

 このラノは自分の性癖暴露の場ではないんですよ……。

 協力者として、ちゃんと自分が自信をもって”すごい”と言える作品を出さなきゃいけない場で「わたしの性癖なんです最高なんです」って理由だけで投票なんかできるはずがありません。

 もし性癖暴露をしたいのであれば、それ相応の建前が必要です。

 

 そういう経緯で今回はこの3作品の投票はなしになりました。

 とはいえ、個人的性癖ぶっささりで最高な作品なので気になった方には読んでもらいたいところ。とりあえず感想のリンク貼っておきます。

【新作ラノベ感想part57】Mother D.O.G - ぎんちゅうのラノベ記録

【新作ラノベ感想part50】もしも明日、この世界が終わるとしたら - ぎんちゅうのラノベ記録

【新作ラノベ感想part77】蜘蛛と制服 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 

 ※ちなみに……、去年までの場合。

 1位投票を「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求」という明らかに頭のネジが2、3本読んだような怪作にしていて。

 選出する5作品に求めるものが「シコルスキに負けない強烈な個性のあるもの」という状態になっていましたので、「自分のめちゃめちゃ性癖な作品=刺さる人にはぶっ刺さる強烈な要素がある」という認識で、自分のとにかく好きな作品も投票していましたけどね。

 去年の2位投票「運命の人は、嫁の妹でした。」がまさにこれです。

 もし今年もこの方向性で選ぶことになっていたら、蜘蛛に食われて喜ぶヒロインとかいう最高すぎる冒頭がある「蜘蛛と制服」や、ヒロインの体を食べることで生きていることができる主人公とかいう最高すぎる関係性を見せてくれる「Mother D.O.G.」のどちらか、あるいは両方に投票していた可能性がありました。

 

 

おわりに

 今回はこのライトノベルがすごい2024の協力者として参加させていただいた立場として、自分が投票した作品についてお話させていただきました。

 

 気になった作品があればチェックしてもらえると嬉しいです。