今回の感想は2023年10月のファンタジア文庫新作「二番目な僕と一番の彼女」です。
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あらすじ(BWより引用)
誰かの“二番目”でいい。キミの“一番”なら。
誰とでも気軽に話せて絶大な人気を誇る美少女・南野千夏。
彼女と知り合った高校一年の秋から、同姓同名のイケメンの陰で同級生から“二番”と呼ばれている僕の生活は変わり始めた。
「“二番”なんかじゃないし。……うちが初めてキスしたいって思うんだから」
南野とは学校以外でも会うようになった。
放課後はストリートバスケに一緒に行って、一緒にご飯を作って、二人だけの秘密を話して、触れあって。
独りでいいはずだったのに、彼女は僕を認めて、あいしてくれる。
だから僕も、それを返したいって思うんだ。
当たり前の願いが当たり前に尊いと気付く、青春恋愛小説。
感想
これは、心地の良い純愛作品でしたね。
二人の距離を縮める様子、その心情描写に見える甘酸っぱさや苦さを存分に味わうことができる。
そして、あらすじには述べられていないのですが、これはお互いに家庭環境に問題を抱えている二人だから紡ぐことのできた愛の物語でもありました。それぞれ心に傷があるからわかり合えること、悩み苦しむことがあって、そして問題を乗り越えた先の未来で二人が幸せであるといいなと、そんな風に思える読後感も良かったと思います。
ページ数はやや少ないですが、それを感じさせないくらいに1冊で綺麗なまとまりで満足できました。
この作品に関して、個人的に1つピックアップしてお話ししたいのは。
やはり主人公とヒロインの家庭環境の問題という部分。
わたしは基本的にこういう現代ラブコメのシリアスな雰囲気が好きではないので、最初こそ「悲劇的な設定があれば読者が惹かれるわけじゃないぞ」なんて少し穿った見方もしてましたが。
読み進めていけば、二人の言動や、二人が関わるよいになってから始まる物語、意識し始めてからの悩み……、そういった全体を通しての土台にしっかりとキャラが持つその家庭環境という背景が根付いているのが分かって、ちゃんとキャラに命を感じられて、これがすごく良かったんですよ。読み始めの偏見はどこかに飛んでいきました(なんて都合のいい手のひら返し)
個人的には、ヒロインが主人公を意識し始めてからの悩み。自分が持っている感情は、自分が嫌いだった人たちが持っているような醜いものなんじゃないだろうかと、過去のトラウマがあるからこそ悩んでしまうところが好きでしたね。
読者として、端から見てたら、もう好きでいいじゃんって言いたくなるようなもどかしさ。しかし本人からしたらやっぱり真剣な問題でして。そういうのを踏まえて、乗り越えて想いを伝えられるようになる終盤の盛り上がりになっていくのが良いものでした。
最初に1冊で満足のいく作品とは言いましたが。
アフターストーリー的な感じでも、普通に2巻以降のシリーズとしても、二人のこれからを見る機会があれば是非読ませていただきたいと思います。
総評
ストーリー・・・★★★☆ (7/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★★ (6/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) 非常に心地の良い純愛作品でした。
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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