ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【読書記録】12月25日~31日に読んだ作品のお話

 丁度1年最後が日曜日、ということで一週間の記録で今年最後のまとめをしていきます。

 

 

1:12月25日~31日に読んだ作品

 今週読んだのは以下の21冊ですね。

ダンタリアンの書架 2~8

・週に一度クラスメイトを買う話 3

死亡遊戯で飯を食う。 5

・声優ラジオのウラオモテ 9

・創成魔法の再現者 6

・お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 5~8 5.5 8.5

血翼王亡命譚 1~3

・勇者の君ともう一度ここから。

 

2:読んだ作品についてのお話

 ※以下画像はAmazonリンク

ダンタリアンの書架 2~8

ダンタリアンの書架4 (角川スニーカー文庫)ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫)

 2巻感想

 今回も面白かったですね〜
 個人的に「等価の書」と「月下美人」の話が好きでした。この2つはダリアンの日常に近い場所で起こった事件で、彼女の済まし顔毒舌以外の面も見ることができたのが良かった。随所随所に感じられる彼女の本好きとしての面倒くさい習性が、月下美人のときに来た強盗に対するセリフからめっちゃ伝わってくるのよ。

 あとはヒューイのこと何だかんだで好きなんだなと分かる髪型対抗とかが可愛かった。あとは断章の本の恋人やギャンブル話も短くてオチが見えやすくはあるけど、やはり面白い短編になってる。

 

 3巻感想

 2巻以上に日常でかなり楽しく読めました。

 もちろん凄惨な事件は多々あったけども。

 最初はダリアンが推しの本の作者に会いに行く話で要約するとストーカー被害事件、その次はヒューイが伯父の家に行ったら浮気騒動に巻き込まれ、3つ目のお話はまさかの形でびっくり。たしかに本に湧く虫退治は重要ですよね(笑)。それから4つ目のかぐや姫オマージュの話は、なかなか熱い展開もありながらも、「あ、知ってた」と言いたくなる結末で苦笑。結局5人の求婚者は誰も姫の心を射止められない運命でしたとさ。

 

 4巻感想

 今回は結構悲しい事件多めでしたね……。

 「幻曲」と「調香師」の話は特に、本当の心を見つけたかもしれない彼女の最後の演奏と、自らの起こした悲劇に精算をつけるため1人戦った姿がどちらも胸に突き刺さる。それにやはりどっちもありきたりな幸せになってほしかったなぁと思ってしまう。

 あとは「連理の書」の話は、なかなか設定自体面白かったけどサクッと終わっちゃって物足りなさあったから、中編とかでこういう話あったらもっと面白そうって思った。

 それはそうと揚げパンのことになるとテンション上がって口も悪くなるダリアン可愛いな。表紙も3巻までは結構表情薄かったのにこの4巻当たりから色々表情出てくるし、基本的にダリアン可愛くていいですよね。

 

 5巻感想

 今回は怪談ちっくな話が多め?

 幽霊列車や幽霊船といったものを生み出す幻書の事件でした。最初の幽霊列車の話は命がけで過去の後悔を晴らした機関士さんや、カミラのオチを含めてかなりいい読後感でした。幽霊船はスーパーフライみたいな設定で絶対乗りたくないわぁって思ったね。

 それから今回の4つ目は赤の読姫との邂逅で、シリアスな話だったはずなのにダリアンとラジエルの言い合いがなんかすごい子どもっぽくて微笑ましかったんですけど💦 

 あとは断章にあったナルシスト(?)なお話とか、2つ目の猫のお世話するダリアンが可愛かったりして良かったです。

 

 6巻感想

 「人化の書」の人魚(?)のお話がとても良かったですね〜。本作にしては珍しくハッピーエンド感があって、ダリアンの出した幻書も友達のための餞別という形でとても心温まりました。そしてそのヒューイ&ダリアンにニアミスしていた、焚書官ハルが関わっていたもう一つの事件という構成もなかなかおもしろかった。まさかの服装違うからスルーされてたとは💦 でも、たしかにダリアンが服装変えるの珍しいですよね。

 あとは、今回の断章「働く男」や、2つ目の「柩の書」はシンプルに面白かったですね。自分がもう一人いたら〜なんて願いから始まった話のまさかの結末だったり、娘を大切にし過ぎるがあまりの自然の摂理に反してしまうジレンマだったり。

 

 7巻感想

 今回も安定の面白さ。
 ヒューイの幼い頃、ダリアンの初めての出会いの一幕が収録されていて、なかなか面白くはあったけど結局分からない部分も残ってる感じでしたね。

 個人的に今回好きだったのは叡智の書2回目、以前は賢くなりすぎたが故にただ平穏でだらだらする結論に至ってましたが、今回は賢くなりすぎたが故に他人に利用されてしまって、しかしその中でも人として純粋に誰かを幸せにするためのお話で面白かった。

 あとは断章の模倣の書がすごい好き。表紙に描いた人のことを何でも知ることができる本で、ただのきめぇストーカーの話かと思ってたら、まさかのね。あれはたしかに完璧な証明がされてしまいましたよ(笑)。

 

 8巻感想

 最終巻。これにて本作は完結……、というような形ではなかったけれど、そもそもがシリーズを通して大きなストーリーラインを持つ作品では無かったから、きっとダリアンとヒューイはこれからも幾度となく色々な事件に巻き込まれていくんだろうなくらいである意味良かったのかもしれない。もちろん読者としては、本作の読姫を中心とした世界観や過去に踏み込んだ話も見たいのですが。

 ともあれ、とにもかくにも最終巻まで短編集だった本作は最後まで安定してました。王の幻書では、ヒューイ&ダリアン、ハル&フランが揃って事件解決に動いてたけど何だかんだこの4人のバランスもいいなと思わせる会話劇が最高。ヒューイとフランの子守コンビがいいですね。

 それから最後の書、はシンプルにダリアン可愛い話。お菓子×本という、彼女の好きを集めたような話で癒やし。

 最後はいつも通りな幻書事件。本当最終巻らしい締めでもなんでもない普通の事件でした。

 

週に一度クラスメイトを買う話 3

週に一度クラスメイトを買う話3 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~ (富士見ファンタジア文庫)

 なんだこれ、てぇてぇかよ。

 二学期になって、受験を意識する時期になって、それはイコール二人だけの時間の終わりだから胸が騒いで仕方ない。お互いがお互いに言葉にしない独占欲をどんどん膨らませて歯止めが効かなくなっていくとか、本当に堪らない。部屋の中を徐々に超え始めて、ルールも曖昧になって、本当になんだこれなんだこれ。読んでいる間バンバンと机を叩かなきゃやってられないほどのてぇてぇに当てられてしまう。早く4巻を読みたい。


死亡遊戯で飯を食う。 5

死亡遊戯で飯を食う。5【電子特典付き】 (MF文庫J)

 いやぁ、これはやってくれましたね。

 右目の不調と押しかけ弟子。2つの問題解決のために動いていく巻でした。目の問題は全盲の先輩プレイヤーに師事しながら、少しずつ耳で聞くスタイルに変更すれば何とかなるものの。師弟関係、人間関係はそうはいかない。

 少なくない時間、玉藻と過ごした記憶と感情は確かな質量を持って幽鬼の背中にのしかかっていた。そして、その重みを最後まで背負い続けるのか、はたまた目をそらすのか。それが今回の結末を決めたのかもしれないですね。今回ばかりは胸が痛かったですよ……。

 とはいえ玉藻自身もまた、どこか現実から目をそらすために幽鬼に師事していたこともあっていつかは何かしらの破綻があったでしょうけど。とはいえ、孤高のプレイヤーだった幽鬼に初めて他の誰かと友好的な関係があったことは一読者としては微笑ましいかけがえない日常があったなと思わされました。


声優ラジオのウラオモテ 9

声優ラジオのウラオモテ #09 夕陽とやすみは楽しみたい? (電撃文庫)

 今回も良かった〜!

 仕事詰めで成績が下がってしまったことで受験勉強に専念を言い渡されたやすみ。それと同時にやってくるのは文化祭。声優から離れて、無邪気で楽しい高校生活を過ごして、そうして改めて自分の目指す道を選ぶお話。

 箸休め回、とは言わないけどここで一旦気持ちを整理する巻として重要な立ち位置。

 そしてやすみが声優業をしばらくお休みすることで、必然的に会話が減ってしまう夕陽との絶妙な関係性が際立っていたのがすごく良かった。やすみの焦りや不安、そんな彼女に発破をかけながらも、すっごい気になって影からこそこそ見守っちゃう夕陽が可愛いのはもちろんだけど。やっぱりお見舞いシーンと文化祭の演劇シーンは格別! 見てて、てぇてぇ~しか言えないbotになるのも仕方ないね!

 それから推しに対してへろへろになっちゃう杏奈ちゃんモードのめくるちゃんがやっぱり最強に可愛いのです。


創成魔法の再現者 6

創成魔法の再現者 6 新星の玉座 ‐世界を変える恋の魔法‐ (オーバーラップ文庫)

 いやぁ、今回も良かった。

 予知能力に対して立ち向かうエルメスたちの戦い。

 ただタイマンで強ければいいわけではない、過去最大の困難を前にしてなお諦めないエルメスの信念と。そんなエルメスだからこそ、その周りに集まったヒロインたちの想いに強く魅せられる。特に前回に引き続きリリアーナ様は大活躍。

 そして、今回の主役はやっぱりニィナですよ。

 予知と洗脳で完全に行き詰まっている状況と、自分の魔法へのコンプレックスと、同じ予知を見ているからこその焦燥感、その全てがじわじわと絶望になっていくのは見てて胸が痛くなる。助けてほしいのに、それすら言葉にできなくて。それでも、そんな暗闇の中だからこそ、最後まで消えないもの。自分にとっての希望は誰なのか。たった少しの小さな魔法。女の子なら誰でも使える絶対最強の魔法。それは文字通り、世界を変える恋の魔法だったね。気づいてしまったらもう止められない。

 英雄でも何でも無いただの女の子として彼女がエルメスを想う心の底からのセリフの1つ1つがもうあまりに綺麗で、最高に可愛かった。もうヤバいですね、これは今後も彼女の恋を全力で応援したくなっちゃうじゃないですか。本当に可愛かったんですよ。

 他のヒロインもうかうかしてられないね。恋する女の子は最強だけど、それでもその恋に全力を注げるかどうかは大きな差になってしまう。きっとニィナの本気の恋は今後も止まらないだろうし、どんどん可愛さを振りまいていくのでしょう。次巻以降の楽しみがグッと増してきました、大満足。


お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 5~8 5.5 8.5

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5 (GA文庫)お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件8 (GA文庫)

 5巻感想

 4巻から2年以上ぶりの天使様は、とにかくイチャイチャしてましたね。恋人になったことは覚えてましたが、それからのお話。学校でイチャイチャして、プールでイチャイチャして、彼氏の実家でイチャイチャしました。
 恋人になったことで愛情表現もストレートになった周くんに、真昼さんがあっぷあっぷしてるのがすごく可愛かったです。

 

 5.5巻感想

 これまでに語りきれなかった日常を描く短編集でした。

 普段は見る機会のない真昼さん視点で、周くんと付き合うまでに色々がんばってアピールしようと努力したり、千歳に相談したりするお話がどれも可愛くて良かったですわ。
 何よりも結局惚れたほうが負けと言わんばかりに、結局何をしても周くん好き好きでぽーってしちゃうのがすごく良いですよね。周くんをドキドキさせたい、から始まった夜のビデオ電話とか自分が好きな人の声でめちゃめちゃドキドキしちゃってるし(いや、もちろん周くんの方もダメージ大きかっただろうけどね)

 

 6巻感想

 表紙からも分かる夏祭り会。

 とりあえずイチャイチャしてました。

 というか、前回の実家帰省の続きが今回の前半ずーっとで続くとは思ってなかったです。もひゃ結婚したての夫婦が彼氏の実家に帰省するレベルで馴染んでいるのでは?

 イチャイチャ加速していくと、どんどん周くんが自信を持っているようで、なんだかこう見ててイラッとする気持ちがなくもなかったりしますが。真昼さんの幸せオーラ見てるとそれで良いやとなってしまうからすごい。

 最後には真昼の父親が登場してどうなることやら? でした。

 

 7巻感想

 今回は文化祭でメイド服な真昼さんを楽しむお話。天使様な真昼さんは言うまでもなく、周くんもまただんだんカッコよくなってきたと噂があって真昼さんの嫉妬が止まらないご様子(かわいい)。そして文化祭終わって、ようやく二人きりの夜が始まるようで……?

 一方で、樹&千歳カップルの問題も少しづつ掘り下げていて気になるところです。

 

 8巻感想

 お泊りから始まった今回は、最初から真昼さんの可愛いで溢れてましたね。

 というか、お風呂とかお布団とか一緒に入ってスキンシップしまくって、周くんなら何でも受け入れますスタンスは控えめにいってもえっちすぎでは? だってもうやってるけことがABCのBじゃないの。

 こんな据え膳を用意されて食わない男いないだろと思うけど、いるんだな。とはいえ、将来の結婚を見据えて今はまだしないとか言いだせるのはすごいかも。高校生のうちに自分で買える指輪で想いをちゃんと伝えたいと考えて新しくバイトを始める覚悟なんかもなかなかですし。

 ともあれ、今回もイチャイチャしてましたね、まる

 

 8.5巻感想

 今回のハイライトはやっぱりロリ真昼ちゃんでしょう。ロリ時代の真昼ちゃんの挿絵が2回もあったのですよ! いやぁ、実に可愛かったですね。

 それから、真昼が敬語じゃなくなったらという話で、1回だけがんばって敬語じゃなくしてみた真昼さんの好きだよが可愛すぎて可愛かったですね。

 あとは8巻最初のお泊りのときの真昼視点があることであのシーンの可愛さがさらに補完されたように思います。

 あとはとりあえずイチャイチャしてました、はい。

 

血翼王亡命譚 1~3

血翼王亡命譚I ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)血翼王亡命譚III ―ガラドの夜明け― (電撃文庫)

 1巻感想

 あぁ、胸が痛い……、あまりに痛すぎる。

 相手が国で王様で、その陰謀に巻き込まれたユウファとアルナはきっとどうしようもなかったんだろう。最初から最後まで袋小路にいたのだろう。

 それでも、二人が紡いだ絆だけは確かにあったんだよ。美しくて尊い想いが……。

 言葉を発せないから届かない。

 言葉を発せたとて伝えられない。

 結局最後の最後までお互いの気持ちを確認し合うことすらできなかった二人だけど、その胸にあった愛だけは本物だった。そして、本当にここからが呪いだ。愛の呪い。きっともう一生忘れることのできない大好きだった人の想いを背負って、その人が大好きだった自分は生きていかなきゃいけないんだ。

 そしてこの愛の重さを深めてくれたのは言うまでもない言血という設定、それによる王族の立場。

 言葉を発せない王女と、そんな王女を一途に慕っていた幼馴染の護衛官。手語による会話が生み出した二人だけの世界と。その時間にお互いが乗せていた想いの僅かなすれ違いと両片想い。そして言葉があってもなくても伝えきることのできなかった本当の心は言血という呪いで結ばれるという。

 想いを伝える術に関して、この作品だからこその意味と重さをこれ以上なく乗せた珠玉のファンタジー作品。これだから愛は素晴らしいのです。

 それはそうとして、読み終わるとサブタイトルの意味がおもすぎてヤバいですね……。

 

 2巻感想

 今回は言ってしまえば、アルナを失ったユウファが新しい心の炎を燃やすためのお話。アルナの母親へ対する激情。言葉を発することなく、ユウファにだけ残された最後の想いを、それをこの世界に叩きつけようと。その熱が爆発する終盤は胸に突き刺さる。

 そしてそんなユウファが立ち直るまで側で支え続けたイルナ。彼女も本当に強い女の子だった。戦う力はなくても、アルナの友として、ユウファと同じ喪失を抱えた者として、その真摯な想いには強く惹かれてしまう。

 それはそうとして、本作の要である言血という設定の奥深さはすごいですね。わたし自身完全に呑み込めているわけではないけれど、あらゆる生命の源というには納得できるほどに深く深くこの世界とそこに生きるものに根付いている。人の繁殖すらも言血を混ぜ合わせるほどだし、そうして生まれてくる人の心を想いを介在してしまい、本作のアルナのように、あるいは今回ナサンドラの悲劇の中で未来のために記憶を託した王女のような、この世界だからこその人の生き様を真っ直ぐに見せてくれるのが素晴らしい。

 

 3巻感想

 血翼王亡命譚

 ああ、この作品にはこれしかないですね。

 嘘偽りなく、これは誰のためでもないユウファとアルナのためだけの、二人が紡いだ物語だった。

 2巻の旅から再び戦場は戻って、アルナを利用した女王との対峙。彼女が望む理想と、それを利用する猫の陰謀。逃れられない戦争を前にして、アルナの意思と共に全てを救うための戦いが始まって。

 やがて辿り着いた歴史の真実を前にして、ようやく吐き出せたユウファの告白。アルナとの再会。彼女が残した歴史や母への愛。その全てを背負って歴史に名を残さない英雄となったユウファ。

 二人の間に言葉はなくて。想いを伝えきることもなく別れる運命にあって。束の間の再会すらも、世界の真実が二人を別離へといざなってしまう。二人の幸せとハッピーエンドは果たしてどこにあったのだろうか? そんな風に思ってしまうのだけど、不思議ですよ。

 アルナとユウファがお互いを愛し続けていた確かなものがここにはあった。

 血翼王亡命譚。それは言葉を話せない彼女と言葉を話せる彼の物語です。

 ああ、本当に素敵だった。

 ※そしてあのあとがきはズルいよ。あんなの簡単に泣いてしまう。

 

勇者の君ともう一度ここから。

勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)

 うーん、すごく良い作品なのに惜しい!

 勇者となって魔神を倒した少女がいた、名前はセラ。そして彼女の仲間として戦ったものの戦線を離脱してしまった青年ジャンは、彼女の活躍を聞いては故郷の村で無気力に暮らしていた。何故自分は彼女の側にいなかったのかと。そんな後悔だけが積もっていく。

 ある日、セラが戦いの中でその身を呪いに蝕まれ、命の危機にあることを知らされる。一度は目をそらした過去に決別するため、そして何よりも今度こそは愛する少女のために自分ができることを果たすため、ジャンはセラに会うことにするのだった。

 と、そんな感じの勇者のアフターストーリーであり、勇者の少女とその仲間の青年のラブストーリーなわけです。

 ここまで話した段階で、もう良いですよね! ジャンのもう一度を願う覚悟とセラを愛する想いがしっかり伝わってくる。そしてセラと再会して、彼女の幸せのために行動をしていくのだけど、その中で彼女の思いに触れていきその覚悟はいっそうに深まる。
彼女もまたジャンを大切に想い、そうであるからこそ自分の何もかもをなげうってでも守りたいと願ったこと。ジャンが戦線を離れたことを恨んだことは一度もなく、それどころか彼がいたから戦い続け、そしてその身を壊していったのだと。呪いが快復に向かって、徐々に元気になっていって、それでも勇者であることを辞められない彼女の切実な想いを前にして、絶対に彼女を幸せにするんだ、男を見せなきゃと戦うジャンの姿はなかなかにカッコいいものでした。

 ただ、何と言いますか……、絶妙に心を震わせてこないんですよ。

 展開が割とサクサク進むのが問題なのか、あるいはセラとジャンの過去の掘り下げが足りないからなのか。どうにも感動しきれない感覚がありました。

 それがちょっと惜しい作品だったのが正直な感想になりますね。

 

おわりに

 12月も最終週ということで、最後の読み収めのつもりでいっぱい読みました。

 シリーズ新刊はどれも面白いし、ダンタリアンの書架やら血翼王亡命譚やらお隣の天使様といったシリーズ一気読みも満足感ばかり。

 もうこれは清々しい気持ちで新年を迎えられそうです。