ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part139】いつもは真面目な委員長だけどキミの彼女になれるかな?

 今回の感想は2023年12月の電撃文庫新作「いつもは真面目な委員長だけどキミの彼女になれるかな?」です。

※12月と1月の2ヶ月連続刊行で、現在2巻まで刊行中。2巻まで読んでいますが、今回の感想は主に1巻を読んでのものとなります。

いつもは真面目な委員長だけどキミの彼女になれるかな? (電撃文庫)いつもは真面目な委員長だけどキミの彼女になれるかな?2 (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 何となく家にいづらい俺は、夜の繁華街でバイトをしている。ある日、暴漢に絡まれているギャルを助けたら……その正体は、クラス委員長の吉野紗良さんだった!

「いつもきっちりしてると疲れちゃうんだ。だからたまに、素の自分に『変身』してるの」

 仲間意識を持った俺たちは、素顔を見せあえる秘密の友達関係に。

「と言っても、まさか高校生にもなって女子と石投げ遊びをするとは」

「いいじゃん、楽しいし! あ、一緒に駄菓子屋にも行きたいな!」

 実は無邪気で子供っぽい吉野さん。自然体で過ごす「ちょっと悪い」友達関係が始まる!

 

感想

 すっごいピュアなお話だった!

 

 本作は主人公の辻尾くん、ヒロインの吉野さんの恋愛模様を描いた作品。

 辻尾くんは、中学のときにある問題をきっかけに不登校になり、そのとき祖母のススメで繁華街でバイトをすることになって現在に。一方の吉野さんは、家庭環境に息苦しさを感じていて、少しでも違う自分になりたいとメイドカフェで働いている。

 お互い思わぬ場所で、お互いの事情を知り合った二人だからこそ徐々に同じ時間を過ごして、甘え甘えられる関係性になっていく……、そんな感じのラブコメですね。



 まず、本作の良かった部分として、二人の心情を見せる地の文。

 辻尾くんは、元々学校でしっかり者として努力している吉野さんを知っていて、彼女がどうしてそんなに努力しているのかを聞いて、そこから「すごいな」「魅力的だな」「彼女のためになにかできないかな」という初恋した少年さながらの気持ちがいっぱい溢れている。

 なんか、少し見てて可愛いなと思う雰囲気がありました。

 

 対する吉野さんは、辻尾くんに向ける甘え方がとても可愛い。

 初めて自分の事情を話した相手だったから、というのはもちろん大きいでしょうけど。そのきっかけだけでは足りなくて、やはり辻尾くんが吉野さんに真っ直ぐな気持ちを向けて行動できたからこそだと思える。

 それが分かった上で、彼女が辻尾くんの前だけでは心の底から甘えて寄りかかっているのを見ると読者としてすごく微笑ましい気持ちになるのです。

 

 そんな二人がしっかり魅力的なのは良かったこととして、別で少し思ったのが。

 この二人の関係性。雰囲気。空気感。

 これが、どことなく少女漫画とか、女性主人公モノのテイストを感じたのですよね。

 それこそ文章の書き方とかクセにこういう雰囲気があるのでしょうけど。基本的に本作の構図は、ヒロインがヒーローと出会って救われるお話であり、しかしながらヒーローもまた何かしらの事情を抱えていてヒロインがそれを受け止めるまでに成長するという、ヒロイン準拠になっていたのが大きいのではないかなと。

 個人的にはヒロインはすべからく幸せになってほしいと思っていますし、こういう方向性も良いモノでした。



 それから、ここまで避けていた本作の鍵となる家庭事情。

 これがなかなか難しくて、読んでいてもどかしさを感じてしまった。

 本作では、明確に他の家族が悪のようには描かれていないんですよね。

 

 吉野さんの場合は。

 母は政治家、妹は医者志望。どちらも常に努力することが当たり前という感覚で、だからこそ吉野さんはそうすることができない自分がおかしいのではと息苦しさを感じてしまう。もちろん、母は亡くした夫の意志を継いで政治家になるという強い気持ちがあるが故に、その理想を子どもにも託そうとして価値観を押しつける嫌いはありましたけども。

 ぶっちゃけ、そういう親は普通にいるよね、の範疇でしかない。

 

 主人公の辻尾くんも。

 彼が不登校だった時期があり、そのためとにかく普通でいてほしい、とこだわりすぎてしまう母親が描かれていて。それを不登校になった子どもだからこそ窮屈に感じてしまっている描写もありますが。こっちはこっちで、そういう親は普通にいるよね、の範疇なんですよ。

 

 だから、結局のところ本作の家庭環境って明確な闇というわけではなく。

 むしろ主人公もヒロインも、高校生として徐々に大人になる中で、しっかり向き合って話をしなければいけない壁としての意味合いが強いんじゃ無いかと思ったんですよね。

 そういう意味では女性主人公モノのテイストがあるといっても、自分を虐げてきた家族を見返してやるぞ、みたいなシンデレラストーリーのような形ではなく、青春ラブストーリーがメインなのかなと思ったりもしました。

 

 ともあれ、本作はそんな事情を持ちながらの二人が育む恋を微笑ましく見るような作品でした。

 2ヶ月連続刊行ということで「上下巻のような構成なのか?」「1巻で二人を掘り下げて、2巻で家庭環境に踏み込むみたいな?」とか色々想像してしまう部分もありましたが、案外普通でした。

 2巻でシリアスとかイチャイチャがめっちゃ加速するわけではなく、むしろ青春要素を増していくような感じで、1巻が楽しめれば2巻も楽しめるよ〜というくらい。2巻連続刊行だからといって、2巻まで一気に読まなきゃいけないわけではなかったです。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★ (6/10)

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★★ (8/10)

 次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 想像以上にピュアなラブコメで良かったです

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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