今回の感想は2024年2月のファンタジア文庫新作「聖女先生の魔法は進んでる!」です。
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あらすじ(ファンタジア文庫公式より引用)
最強の聖女だったにもかかわらず、とある事情により異端として王都から追放されてしまった聖女・ティア。彼女は落ちこぼれだった聖女候補3人の先生になったが――
「先生、王都に竜で飛んで行ったら問題になります!」
「どうかしてるのは先生よッ!! 今のは一体何なの!?」
「私も最強を目指したくなっちゃいました。指導してくださいね、先生?」
ティアによる聖女魔法を”組み合わせる”技で、作物の超速育成や竜の飼育、一騎当千の戦闘に至るまで桁違いの指導が連発。
「私の全力で、貴方たちを導きます」
規格外な聖女先生を慕う少女たちは、国さえも驚く最強聖女へと成長していく!
『転生王女と天才令嬢の魔法革命』コンビによる『聖女』×『教官』ガールズファンタジー、登場!
感想
転天作者さんの新作ということで、楽しみにしていた作品。
面白かったです!
本作はファンタジア文庫ではまま見られる教官モノファンタジー作品。
しかし、その教師が女性というのは新鮮さを感じました。
主人公が男の教官モノと比べると、当然ながら異性を感じさせるような内容がなく。それ故に教え子の女の子たちの持つ、先生への純粋な尊敬や憧憬の気持ちというものが分かりやすく。そんな先生みたいになりたいと三人で切磋琢磨する、友情・努力・勝利のような成長を真っ直ぐに楽しむことができるように思いました。
とはいえ、この1巻はそんな教え子たちよりも、まずは主人公である聖女先生にフォーカスしていたような印象。
この先生がしっかりと規格外の強さを持ち、周囲から異端とされるものの、彼女自身は過去の事件による後悔と、その上で成し遂げるべき目標を持つからこそそんな周囲の意見を理解しつつ無視し続けている。
「非常識と言われようとも、それが私の常識なんですよ」
という序盤の会話の中にあるその些細な一言で、彼女の心をしっかり見せてくれたのがもう最高に良かったですね。
そこからはそんな彼女の飄々と規格外を見せつけられて唖然としては、ツッコミを入れつつ、とんでも指導を受けるようになる三人の教え子たちとの交流が描かれていきます。そこでは教え子たちの背景も描きつつ、同時にそれに向き合う先生の背景も少しずつ詳しく描写していく。
それが積み重なっていくことで、しっかりと冒頭で感じさせてくれた彼女の強さの本質が分かっていくようになるので、1巻として読んだ主人公の性除染セの印象がすごく良かった。彼女の目標と、彼女みたいに強くなろうとする教え子たちの気持ちがしっかり読者に伝わるために、面白さを真っ直ぐに味わうことができたと思います。
それから、繰り返しになりますが。
1巻では先生の背景にフォーカスされていました。
そのために、教え子一人一人の大きな成長という楽しみが今後にあることは確定していながら、そんな彼女たちの成長が先生の心をどう変えていくのか。教官モノとしての、教え教えられという関係性の発展がどうなるか。という楽しみもまだまだ残っている。
さらに言えば、先生の後悔となる過去の事件。これもまた不穏な気配を残していて……、果たしてどんな戦いがこの先待っているのだろうかと、気になってしまいますよね。
そんなわけでまとめると。
素直に面白い教官モノファンタジー作品。
1巻では聖女先生にフォーカスし、主人公となる彼女の魅力をしっかり描いてくれた。そんな彼女がこの先も導いていく教え子たちの成長や、不穏な気配といった楽しみも十分に残されて、新シリーズの1巻として見事なスタートを切った作品だと思いました。
大満足です。
総評
ストーリー・・・★★★☆ (7/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)
イラスト・・・★★★★ (8/10)
次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)
総合評価・・・★★★★(8/10) 転天作者さんの新作、良かった! 転天最新刊も良かった!!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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