今回の感想は2024年10月のガガガ文庫新作「愛とか恋とか、くだらない。」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
年下幼馴染と、不純な関係を持ってしまった。
河合祐真には、ひとつ年下の幼馴染がいた。倉本涼香――親友・晃成の妹だ。祐真にとっても妹のような存在で、高校生になろうと変わらない。そう、思っていた・・・・・・。ある日、晃成がバイト先の先輩に恋をした。「バッカみたい」そう呟く涼香は、恋愛感情が分からないという。そして祐真も、恋愛にトラウマがあった。でも、“そういう”ことには興味がある。「キスって、気持ちいいらしいね?」いけないと分かりつつ、一線を越えてしまった。二人は、ひとつ約束を結ぶ。この不純な関係は『本当に好きな人』ができるまでの期限付き。
感想
黒髪の二つおさげは可愛いだろうが!!
特別女の子の髪型にこだわりを持たないわたしが唯一持つ好きな髪型だぞ!!
地味で垢抜けない? バカなこと言ってんじゃねーですよ! 素朴な味わいと言え! 女の子がおしゃれとか気にしない状態の素の可愛さがいちばん発揮されるやつだから! ああいう楚々とした感じがオタク読者はいちばん好きなの!
……というわけで、表紙のメインヒロインの子が黒髪だったのは作中序盤のみで途中からはずっと明るい髪色に変わってしまい、更に二つおさげも辞めてしまうとかいう表紙ホイホイした読者を一刀両断するような展開に物申したいわたしです。
とはいえ、この不満そのものはわたしがおさげ髪大好き人間だからこそのものでして、展開として髪型を変えることが、幼馴染として見慣れている状況を視覚的に変えていくというものとしては理がかなっているものではあるんですよね。
だからこそ、これはただの八つ当たりになってしまいます……、おさげ髪可愛いだろ~っていうわたしの本能が叫ばずにはいられませんでした。
と、そんな前置きは脇に置きまして。
改めて本作の感想を語っていきます。
まずは、本作のメインキャラとあらすじを。
主人公の裕真には、幼馴染の親友・晃成とその妹・涼香がいる。更に晃成へ想いを向ける涼香の友人・莉子。普段から四人で一緒にいる仲で最近の話題は、晃成がバイト先の先輩を好きでイメチェンするというもの。
裕真と涼香は晃成を応援しながらも、恋愛に熱を上げる気持ちがイマイチ理解できない。しかしながら漠然とした憧れや興味は抱いていて、ある日二人は一線を越えてしまうのだった――という冒頭から始まるお話でした。
そして、本作の感想はぶっちゃけ一言に集約されるのですが、
「お前らとりあえず付き合っちゃえば?」――これに尽きると思います。
といっても、本作は裕真と涼香が無自覚にイチャつきまくって甘々~みたいな意味でさっさと付き合っちゃえよ~と言うわけではなく。
むしろ逆で、恋愛が何か分からない分からないと言っているけど、この二人はただ単純に恋愛をあまりに偶像化して紋切り型に当てはめて考えすぎているだけじゃないか? ということ。
だからそれに当てはめられない自分達が恋愛から浮いているように感じるし、恋愛に熱を上げることも出来ず、好きになることがイマイチ分からないという、そんな感覚に囚われてしまっている。
恋愛をくだらないとか言ってるけど、どちらからも本気で疎んでいるというほどの感情は感じられませんでしたし。どちらかといえば「自分が興味あるのに自分ができないことを羨んで、そんなのくだらないって言ってるだけ」みたいなやつにしか見えないんですよね。
であるならば、恋愛としての好きかどうかはともかく。少なくとも好感を持つことができて一緒にいると安心できる、そんな慣れしたんだ関係性で一度付き合ってみるのも良いのでは?
付き合う仲で好きになることを探っていくでもいいし、恋愛のままごとが本気になったらそれはそれで良いし、好きは分からないままでも共にいて苦でないのならそのまま結婚して家庭を築くことに何も問題は起こらないじゃないですか。逆にやっぱり幼馴染で恋愛は違うよねって思っても、なりゆきで体の関係を持ったりするくらいであれば別れてから変に関係性が崩れずさっぱり終わることだってできそうじゃないですか。
そう考えたら、さっさと付き合うしかなくない?
それ以上の最適解はない気がしますよ。
そりゃもちろん周囲の人を見て、自分達の両親を見て、恋愛に対する考えが色々凝り固まってしまっているのかもしれないと理解はしますけどね。
恋愛なんてそれこそ馬鹿馬鹿しいもので、一義的に定まるものじゃないんですから。結局のところどんな関係、どんな感情でも、それを本人が好きと決めて、恋愛だと言えばそれは恋愛になりますって。
だからほら、さっさと付き合え。
と、わたしの感想としてはそんなところですね。
関係性こそ恋人でもないのに体の関係を持つというものですが、内容的には恋愛が分からない二人が右往左往するという割とまっとうにラブコメしてるもので、不純愛的な要素は正直1巻時点では全く見当たりませんでしたので、素直に楽しるものだったと思います。
その他の感想としては。
物語的な進行は、基本的に親友である晃成と莉子の恋愛のアレコレがありながら、裕真と涼香がその裏で人に言えない体の関係を重ねている、みたいな感じで終始進行しており。この二人二組が対比されるように並べられていることで、四人それぞれをしっかり見せられるようになっていたのではないかと思います。
また、晃成がバイト先の先輩を好きになっているという冒頭で始まり、晃成はその後も様々な動きを見せていますが。それ以外の三人に関しては基本的にその他の外野からの下手な干渉がなく、できる限り四人の関係性に集中している描き方をしているのも個人的には好きだったポイントです。
一方で、さっさと付き合えという感想しか出てこないことは、逆に言えば1冊を通じた裕真と涼香の変化があまり感じられないという意味でもあり、そこはやや冗長に感じたでしょうか。個人的な本作の印象として「ロープラの美少女ゲームくらいの感覚で見たい」というものがあるので、あまりだらだらと長く描かれたらだれてしまうのではないかという懸念を持っています。2巻で関係性を揺さぶって、3巻で綺麗に収まる、くらいでも良いのでは? というのが現状の感想ですね。
総評
ストーリー・・・★★☆ (5/10)
設定世界観・・・★★★ (6/10)
キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) くだらないとか言ってる暇があれば、とりあえず付き合ってみたらどうでしょう? 体の関係持つ実践はできるのに、恋人ごっこの実践はできないんですか? そりゃくだらないとか言って毛嫌いしてる間は永遠に恋愛とか分からないでしょうよ。
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。