ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part40】学校の階段

 今回感想を書いていく作品は「学校の階段」です。

 ファミ通文庫より2006年から2012年まで刊行されていた全10巻+短編集2巻+外伝3巻のシリーズ。作者は櫂末高彰。イラストは甘福あまね

学校の階段1 (ファミ通文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

1:作品概要

 まずはいつものより少し長いですが作品の概要からお話しします。

 

・あらすじ

 ””ただひたすらに校内を走り回り、階段を飛び越える謎の部活、それが階段部。校内では迷惑な集団として認知される非公認の部活動だけれど、そこに所属する部員たちはそれぞれが階段部の活動にそれぞれの譲れない想いを持って取り組んでいる。

 そんな階段部に触れて、胸の中の衝動を刺激された主人公、神庭幸宏が階段部に入部するところからこの作品は始まります。””

 

 そしてこの作品が描くのは超真っ直ぐな”青春の無駄足”!

 

 各巻おおよそ1人の人物にフォーカスして、そのキャラが抱えている想いや悩みを見せていて、階段部とその周囲で起こる出来事に関わる中で、その心の変化と成長をみせてくれる。

 この出来事っていうのが、階段部の活動という傍から見たら無駄でしかないものだけど、そこに関わる当人たちにとってはかけがえのない大切なものであるという。

 青春の無駄足、というのはそういうこと。だと個人的には思っています。

 

・シリーズ構成

 本編から離れると、「学校の階段の踊り場」と「学校の外階段」という二種類がありますが。

 踊り場は短編集。本編では描ききれなかった短編でキャラたちの日常に癒やされる内容になっています。

 外階段は、学校の階段9巻辺りの時系列で、別視点から描かれたもの。内容は階段部のアクション要素が減り、生徒間で起こるトラブルを解決するちょっぴりミステリな感じになっています。しかし、何かを通じてキャラたちが自分の心に向き合う、という学校の階段シリーズの本質は変わってなくものすごく青春をしていました。

 

 と、そんな概要を踏まえた上で、この作品の魅力と思う部分をいくつか挙げていきます。

 

2:階段部の活動

 まずは、やっぱり階段部の活動。

 階段をとにかく早く走る。

 これだけの活動ですけど、これがもうとにかく熱いんですよ! 抑えきれない衝動のままに走るキャラの持つ心情にグッときて。その熱量に負けないくらいのアクションシーンの描写、その勢いと派手さに圧倒されます。わたしの脳内ではパルクールのような障害物を鮮やかにカッコよくくぐり抜けながら疾走するイメージが浮かんでいました。

 ここにそれぞれのキャラの階段レースに望む姿勢や想いが加わると、しっかりとスポ根作品としての魅力があります!

 

 また、シンプルに学校を走り回る、ということがもしかしたら誰もが小学生のときとかにやったこと、あるいはやってみたいと思ったことがあるんじゃないかと個人的には思っていて。

 それはある種の「日常」「ありふれたもの」なんじゃないかとも思えること。

 それをこうしてラノベらしくコミカルに描いているというのも、非常に面白いポイントです。

 つまり、この作品を読むと無性に階段を全力疾走したくなるってことですね。

 必殺Vターン!! とか言ってみたいのです(笑)



3:謎部活

 続いて、階段部以外の謎部活について少しだけ。

 この作品は階段部という謎部活ができるくらいには、様々な謎の部活動が他にも存在しているんですよね。保育部とか廊下部とか。

 この中で特筆すべきは何と言っても、筋肉研究部ですよね。

 先程階段部のアクションシーンが良いって話をしました。けど、何故かそれと同じくらいには毎回、筋肉描写もめちゃくちゃ力入ってるんですよ笑。もはや筋肉が準レギュラーと言ってもいいくらいに。

 これがただコメディ要素ってだけではなく、ときどき良いシーンも掻っ攫っていくものだから、毎回筋肉の登場を楽しみにしちゃうくらいですよ。

 実際に筋肉が「待っていただろう!」みたいなセリフを言い出したとき、わたしも待ってました! って読みながら言っちゃいました💦



4:シリーズ全体を通した展開

 最初にこの作品は真っ直ぐな青春を描いたと言ったように、この作品はその展開運びもとても真っ直ぐなものなんですよ。

 まず1巻では主人公の幸宏が階段部に入るまでのお話。続いて2〜5巻が階段部の各部員にフォーカスした話。そして、6巻では原点回帰して再び幸宏の話に戻り彼自身が階段部への向き合い方に悩むスランプに陥る。7〜8巻は階段部に関わった周囲のキャラを掘り下げていき、最後にまた主人公幸宏が締める。

 と、大雑把な各巻の内容を見ると、これが非常に丁寧に広がっていってるなって思うんですよ。全10巻を通して綺麗に起承転結ができていると言ってもいいです。

 特別に捻った展開はなく。

 現実に即した内容で。

 シンプルで面白い。

 これがもう本当にすごいなった思ったんですよね。

5:あとがきのSSが面白い

 最後に、これを言わなきゃいけませんね。

 本作はどういうわけか、あとがきでは毎回、本編とは全く関係のないちょっぴり不思議なショートストーリーを読むことができるんですよね。

 そしてこれがめちゃめちゃ面白い!!

 正直、このSS集だけでも読みたいって思えるレベルです。

 本編とは全く関係のない内容ですけど、このSSを読むと何となく学校の階段という作品がこういうものを描きたいというものも見えるような気もするので、この作品はあとがきまで必読ですね。

 

6:巻別満足度と総合評価

 最後に本作の巻別満足度と総合評価です。

 

 まずは巻別満足度。

 シリーズ全体を通した緩急が非常に綺麗な作品でした。

 1巻で階段部という謎部活に読者を惹きつけ、そこから最初の区切りがつく5巻まで徐々に駆け上がっていく。そして6巻から最終巻までまた駆け上がっていく。

 

 そして総合評価です。

 シリーズ全体を通しての満足度は ★8/10

 全体を通して非常に満足なシリーズでした。

 

おわりに

 というわけで、まとめると。

・階段部のスポ根で青春な内容。

・準レギュラーの筋肉。

・非常に丁寧で分かりやすい展開。

・そして、あとがき。

 大雑把にこの4点が面白い、というのがわたしの学校の階段シリーズの感想になります。

 

 これはすごい個性的なシリーズでしたよ!

 できることなら、中学生くらいに読みたい内容!

 

 最後に1巻のAmazonリンクとBOOKWALKERリンクを貼っておくので気になった方はチェックしてみてください。

 

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BOOKWALKERリンク

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