以前シリーズまとめ感想として挙げたアリストクライシ。
その最終巻となる4巻が遂に発売されました!
作者である綾里けいし先生自らの同人出版という形になっていますね。
わたし購入は以下のメロンブックスの委託通販で行いました。
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1730647
手元にやってきた最終巻のカバーの艶とか手触りがめちゃくちゃヤバい! とかいうお話もしたいのですが、それはおいておいて最終巻4巻の感想を書きます。(今回は普通にネタバレあります、言いたいこと言ってるだけなので)
二人ぼっちの化け物の物語、堂々完結。
3巻においてエリーゼは大きな壁に直面してしまう。
奪った者は奪われる。殺した者は殺される。
それはごくごく当たり前の憎悪の連鎖。
何も恐れず、全てを失い、復讐だけを目的にしていたエリーゼだったらきっと何も感じることはなかったはず。
けれど、もう出会ってしまったから。
自分を大切に思い、自分もまた大切に思える、もう一人の化け物と。
だから彼女は選ばなければならない。
その先には破滅しかない復讐を続けるのか。
それとも……。
この4巻でエリーゼは、アリストクライシを巡る全ての凶行の真相を知り、復讐の旅の終着を前にして、過去の自分の後悔と絶望と改めて直面することになります。
そこにあったのはどうしようもない真実ばかり。
一言で言えば、エリーゼとグランの続けて来た旅の全ては最初から仕組まれていたものだったのだと。【穴蔵の悪魔】――アリストクライシ――と呼ばれる全ての存在は、不完全な化け物であり、唯一その王たるユージーンのみが真の化け物なのだと。
そして彼は孤独だった。
真の化け物だからこそ紛い物を嫌悪し、さらに自らが妻に裏切られた憎しみも加わって全てのアリストクライシを滅ぼしたいと願っていた。
だから、エリーゼを焚き付けることにした、グランを焚き付けることにした。エリーゼは自らの愛娘であり、グランは自分と同じ真の化け物だったから。
そうしてアリストクライシを滅ぼしたユージーンはたった二人、自分の孤独を埋める存在を求めたのだという。
エリーゼにとって、グランにとって、それはこれまでの全てを覆す出来事。自分の根底にあると思っていたものが根こそぎ奪われて、足元に暗闇が広がるような真実。
一体自分は何のために……?
何もかもが嘘だったと知り、最後に残ったもの。
グランは言うのだ。
「エリーゼのために」
最初から一度として変わることのない自分の思いを。
そしてエリーゼもまた呼ぶのだ。
「グラン」
と、たった一人、孤独な自分を救ってくれる大切なその名前を。
ああ、文字通りに。
一人ぼっちと一人ぼっちの化け物は、二人ぼっちになる物語だった。
おそらく3巻から分かり切っていたこと。
二人の幸せがあるとしたら、きっとそこにしかないんだろうなと。
旅の終わりを見たいと願いながら、きっとどこかでこの結末を望んでいたと思う。
そんなハッピーエンドで、この物語は締められました。
綺麗で美しい物語がありましたね。
本当に素晴らしかったです。
今回は短いですが、感想はこれで終わりましょう。
というかね。
ただただ、最後のグランが「エリーゼのために」と言うシーンとエリーゼが「グラン」って求めるシーンがエモエモのエモだったから、それを言いたかっただけなんですよね。
本当に良かった。
二人の幸せが見届けられて良かった! 最後の結婚式とか、アリシアのその後とかも色々言いたいことはあるけれど。いちばんグランとエリーゼなんだよ。