今回の感想は2023年12月のMF文庫J新作「探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。」です。
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あらすじ(BWより引用)
美少女名探偵と5人の助手が紡ぐ非日常系ミステリラブコメ!
「私はね、探偵なの。それもただの探偵じゃなくてね。この私、推川理耶は――本格的名探偵なんだよ」ミステリ好きの高校生・福寄幸太は、自称名探偵の美少女・推川理耶から一方的に助手に指名される。するとなぜか、目隠しをした幼女、二重人格のお嬢様など、助手希望者が続々と集まってくることに。そんなある日、校内で発生した事件において、空想上の怪物が犯人だという「迷推理」で幸太を呆れさせる理耶。しかしその夜、幸太は空を飛ぶ怪物を目の当たりにし、理耶に隠された秘密の一端を知る――名探偵は絶対に間違えない、「真実を生み出す」ことによって。
感想
非日常系ミステリラブコメ、と謳っている作品だけど・・・
これは本質的にはコメディ10割ですね。ミステリ、ではないな。
作者が自分の好きなものを詰め込んだと言っているように中身は闇鍋なのでこれはカオスコメディと言う以外ないと思うのです。
ですので、そういう作品として見るとなかなか楽しくはありました。MF文庫Jってたまにこういうの出すよねという感覚があります。とはいえ、個人的にはこの散らかり具合を上手く扱いきれてないように見えてしまい、やや勿体なかったかと。
まず個人的に気になっていたタイトルの意味。これがなんと冒頭1ページ目から分かってしまいます。
””探偵が真実を語るのか。それとも探偵が語るから真実になるのか。””
と、そんなニュアンスの文言を見れば、まぁー、お察しですよね。
すなわち表紙のヒロインである推川、彼女が語る推理が全て現実になってしまうということ。
その理論から、本作は推川の迷推理による事件の犯人がファンタジーの怪物だったり神様だったりしていくというトンデモ展開に発展するわけです。
これにプラスして主人公以外のヒロイン全員、何らかの特殊能力を持っていて……、となってくれば要素のてんこ盛りになるわけです。
そして、この1巻の段階では5人もいるヒロインとそれぞれの持つ固有の設定や異能力を十全に扱えていたかというと微妙な印象があった、ということですよね。これは作品自体の問題というよりは単純な文章量の問題ですね。
個人的に、こういう何でも詰め込みましたという作品自体は嫌いではありませんし、こういう作品こそ2巻3巻としっかり設定や展開を詰めていくことで化ける可能性もあると思っています。なので、その部分は今後に期待ということで。
あとは、本作において非常に気になる点として1つだけ。
これ結局のところ異能力の存在やら、主人公の特異性やら、そういうのが全て無自覚のうちに推川が生み出しただけなのでは? という疑問です。
真実を探偵が語るのか、探偵が語るから真実なのか。これを正当化する作品であればこそ、同じような理論をいくらでも作れてしまうじゃないですか。
例えば、探偵がいるから事件が起こるのか、はたまた事件があるから探偵がいるのかというジレンマはミステリならしばしばありますし。
この作品に関しては、既にお話ししたようなまだ設定を詰め切れていない印象があった部分もまた世界五分前仮説というのか、本当にあらゆる全てが、推川がそういう非日常を望んだその瞬間に生まれたという説明で片がつくタイプの作品ではないかと、そう思ってしまうのですよね。
流石にそれは変な深読みしすぎでしょうか……。
まぁ、これも今後の展開に期待ということにしましょうか。
総合評価
ストーリー・・・★★☆ (5/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★☆ (5/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)
総合評価・・・★★★(6/10) 1巻時点では「今後に期待」ですね
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。