ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part151】龍の子、育てます。

 今回の感想は2024年3月の富士見L文庫新作「龍の子、育てます。」です。

龍の子、育てます。 (富士見L文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 孤独な高校生と不思議な少女。さびしい二人が「家族」になった、夏の物語。

 

 祖父が死んだ――二億の遺産と、一人の少女を遺して。

 高校生の詩音(しおん)は高圧的な父に反抗し、孤独に生きてきた。

 しかし祖父の遺言で五歳の少女・龍音(りと)の面倒を見ることに。

 隠し子と噂される龍音は、遺言では《龍の子》とされていた。

 他人に頑なな詩音と感情に乏しい龍音。ぎこちない共同生活の中、二人は次第に歩み寄っていく。

 だが龍音が人ならざる力を使う場面に遭遇し、詩音は戸惑う。

 《龍の子》とは……真実を求め紐解いた祖父の手記には、龍音の使命が記されていた。

 不思議な少女と、世界の秘密に出会う、ひと夏の物語。

 

感想

 映画やちょっとした長編アニメーションでありそうなキュッと綺麗にまとまった作品でしたね。良かったです。

 

 本作はあらすじにあるように。

 高圧的な父親に反抗して独りで暮らす高校生・詩音と、彼の祖父が亡くなり遺産と共に残された1人の少女・龍音。祖父の遺言で始まった二人の生活の中で、龍の子である彼女の超常的な力を目にしながら、二人は家族としての絆を深めていく……、そんなお話です。

 

 そしてこの作品の鍵になるのは、主人公である詩音。

 父親との折が悪い分、もともとは祖父に良くしてもらっていたのだけれど。あるときを境にぱったり祖父から関係を断絶されてしまう。そして、数年越しに再会した祖父はもう何も言えない状態。それなのに詩音からしたら、何が何だか全く分からないままに祖父から突き放されて、その遺言は一人の少女を引き取ってくれというもの。

 当然、意味が分からない。そしてそんな遺言を残されたものだから、父親からは自分がまた面倒ごとを運んできたのではないかと邪推される始末。怒りたくもなって当然。

 

 と、そんな状況であってしかるべきの詩音が持つ、父親への反抗心や祖父に対する複雑な感情。一言で言えば、家族関係の問題ですね。これが龍音と暮らす日々で徐々にほどけていく様子がとても良かったのです。

 この「詩音自身の家族に対する話」と「詩音と龍音が家族になっていく話」との、2つの家族にまつわる話をしっかり絡ませて話を展開していくことは本作の大きな魅力の1つだったと感じています。

 

 そしてもう1つのキーワードは言うまでもなく「龍の子」

 龍音が持つ超常的な力。祖父の遺言では、彼女が人々に幸を与える龍の子となるのか、災いをもたらす龍となるのかは彼女を育てる者次第であるという。

 この問題は、分かりやすく子どもへ与える愛情の可視化として良い役割を果たしていましたし、逆に彼女の真っ直ぐな成長が詩音の孤独な子どもだった状態からの成長を示すようでした。もっと単純に言えば、龍の子であることの超常的な力が何も問題を起こさない、起こしたとしても落ち着かせることができるという状態は、詩音と龍音の関係性を何よりも明確に示していてとても心が温まる内容になっていました。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10) 

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10)  綺麗に1本まとまっている作品。しっかり満足感がありました。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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