ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part166】美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか

 今回の感想は2024年6月の電撃文庫新作「美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか」です。

美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

「私の子供を作ってよ」

 パンツ姿でそう呼びかけるのは、医者の卵で小説家の今上月子。

「いい加減服を着ろよ……違う子作りをしたくなっちまうぞ!?」

《エロス大魔神》と自称することで周囲と距離を取っていた黒松治。そんな彼の本当の姿は、美少女フィギュア作りの達人だった!? 

 月子が彼に依頼したのは『青春ができない病』を治すため、自身が書いた小説のキャラをフィギュア化してほしいというもので……。

 ギャルだけどオタ絵師な幼馴染かぐやに、塗装LOVEすぎるギリシャ美少女セレーネも騒動に巻き込まれ!

 変人な彼らの等身大〈フルスケール〉な青春ラブコメ、ここに開幕!

 

 

感想 

 美少女フィギュアのお医者さんだからできること。
 本作ならではの青春を感じる内容は良かった……、と思うのだけど、何かが足りない?

 率直な感想はそんなところでしょうか。


 改めて本作のあらすじとしては
””エロス大魔神を自称して周囲から軽蔑されて距離を置こうとする主人公・治。それは中学時代、自らの特技としていたフィギュア製作に関する苦い経験によるもの。
 しかしながら、とあるきっかけから医師の家系に生まれ小説家デビューしたばかりの少女・月子からの依頼をきっかけに、もう一度向き合うことになる。そして彼の造形に心を奪われる塗装大好きなギリシャ系少女や幼馴染絵師の想いも加わって……””
 と言った感じでしょうか。


 フィギュア製作が鍵となる青春作品。

 クリエイターとして誰かのために何かを成したい、という情熱がしっかり伝わってくるのは良かったと思いますし。

 ヒロインである月子が抱える悩み。医師の家系に生まれ幼い頃から文字通りに人体のありのままを見過ぎてしまったことによる弊害。

 それを解決するためのフィギュア作り、美少女フィギュアのお医者さんだからできること、というタイトルに込められた意味だったり。月子の依頼から主人公自身の過去や悩みに繋がってくる展開だったり。そういうところでこの作品ならではの青春を感じられる部分で良かったと思います。特に終盤から結に向けたまとめ方は上手く、読後感としてはかなり良い方かと思います。

 またサブヒロイン(?)の立場であるギリシャ系少女もマイペースながらに、何かを作る者として主人公に向ける期待や言葉が物語の細々としたところに効いてきていたのは良いですね。幼馴染ヒロインに関しては、この1巻では物語上の役回りを遵守している印象が強くて、キャラとしての影が薄かったように感じたのはやや残念でしたでしょうか。

 


 ただ個人的には最初にも言ったように、もう一押し何かが足りないように思ったのも事実です。それは端的に言えばここでグッと作品の面白さが深まる、読者を惹きつける、そういった大きな見せ場や転換の不足……、でしょうかね。

 展開としては割と王道で、言ってしまえば情熱を失っていた主人公がヒロインとの出会いで再びそれを取り戻すお話。その中に美少女フィギュア製作という要素を上手く取り込んでいる。そしてキャラ各自の悩みや問題があって、そこに青春らしさを感じられる。最後は綺麗に収まる場所で収まった。

 と、それだけ聞けば良い作品であるのは間違いないのですけども。

 ただ主人公の過去だったり、ヒロインの問題だったりが、文字の情報としては大変であるのは想像できますが、それが描写としては「なるほどな」と素直に納得ができる程度のものであったとも言えると思うんですよ。

 わたし個人としては、この少年少女の心にある切実さや重さ、大きな感情というのをもっとハッキリ強く見せて欲しかったと思うのです。
 そこで強く読者に訴えかければこそ、今この瞬間にしかない輝き、美少女フィギュアを作ることで新しい何かを掴めるかもしれないという希望のかけら、そういった本作の売りを更に際立たせることができたのではないかと。そう思うのです……、というかわたしはそういうのを見せてほしかった、という願望ですね。

 

総評

 ストーリー・・・★★★☆ (7/10)

 設定世界観・・・★★★ (6/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10) 

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻以降への期待・・・★★★ (6/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) もう一押しほしかったですね。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。 

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